「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

発症のきっかけと 本当の原因を区別する (2)

2010年03月23日 21時44分58秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
(前の記事からの続き)

 目の前に生じたトラブルは  「きっかけ」 に過ぎず、

 「本当の問題」 は、 それに対して 不適切な反応をしてしまうことです。

 心子も きっかけに囚われて、 一挙に絶望して 生きる価値を失ってしまったり、

 僕に対する 全面的な信頼が 最低の裏切りに 変わってしまったりしました。

 それは 一面的な見方であり、 囚われないことを伝えるのが 必要だといいます。

 あるとき 心子の症状が悪化して、 心子は全く悲観的になり、

 もう別れようと 涙ながらに言い出したことがあります。

 そのシーンを、  「境界に生きた心子」 から引用します。
 

「 『マーのためを思って 言ってるんだよ。

 今はできることをやって、 どうしようもなくなったら 捨てるのは残酷だよ。

 それだったら 今捨てて』

 僕は かぶりを振った。

 『どうして こんな大変なのに付き合うの?』

 『大変だけじゃないからだよ。

 いいことも悪いことも、 全部あって しんこだから……』

 心子は 僕を見上げ、 強い視線で 見つめ続けた。

 とても、 きれいに見えた。

 髪をなでた。

 キスをした……。」
 


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