「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

カウンセリングが うまくいかない理由 -- 境界性パーソナリティ障害の 複雑な心理を読み解く

2009年10月20日 20時21分05秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 境界性パーソナリティ障害の人では、

 従来の精神分析や 受容的なカウンセリングが、

 逆に 症状を悪化させてしまいます。

 通常のカウンセリングでは

 クライアントの話に ひたすら耳を傾ける  「傾聴」 を基本にし、

 やがて本人が 自分を見つめ直して 再統合していくよう、

 共感や解釈で それを助けます。

 でも境界性パーソナリティ障害の人では、 不満や苦しみを 取り止めもなく話し、

 余計に しんどくなってしまうこともあります。

 過去に踏み込むと ますます話は広がり、 ネガティブな感情が 噴出します。

 コントロールが失われて 極めて不安定になってしまいます。

 これを  「パンドラのはこを開けた」 と表現します。

 今まで封じ込めていたものが 一挙に吹き出し、

 本人も周りも 洪水のような感情の渦に 巻き込まれます。

 蓋を取ったはいいが、 あとの始末が つけられないのです。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕


 心子も主治医に、 カウンセラーを探してほしいと 望んでいました。

 でも先生が なかなか探してくれないので、

 心子は先生に ドクターとして致命傷を与えるような 酷評をしたものです。

 ところが後日 先生の話を聞くと、 心子のような人は

 カウンセリングを受けること自体が 難しいのだと言われました。

 まず、 毎回定期的に カウンセリングを続けることが難しい。

 そして、 心子は 頼れるカウンセラーとして 男性を望むだろうが、

 男性には依存感情を抱いて、 そのあげく破綻し、 遠のいていって、

 そしてまた 逆戻りしてくることを 繰り返すだろう、 ということでした。

 まるで僕に対して やっていたことと同じです。

 いずれにしても、 治療は十年単位になる と言われました。

(次の日記に続く)
 


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