「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ボーダー患者による 著作の特徴 (1)

2008年08月09日 22時41分20秒 | BPD,パーソナリティ障害の書籍から
 
 「パーソナリティ障害とむきあう」 林直樹 (日本評論社) の中で、

 ボーダー患者自身が執筆した 著作について述べられています。

 映画 「17歳のカルテ」 の原作となった

 「思春期病棟の少女たち」 スザンナ・ケイスン (草思社) や、

 「魂 (こころ) の穴」 山口麗子 (文芸社) など、

 5冊の著書を 例に挙げて検討したものです。

 これらの本の 記述の特徴として、著者の体験の独特さや 病理性が強調されておらず、

 自身の経験を病的なものと あまり見ていないと言っています。

 他の精神病患者が、自らの特異な体験を 書き留める目的で 書かれた本とは、

 対照的だということです。

 ボーダーの著者の記述には 辛さや苦しみの感覚が乏しく、

 深刻さを感じさせない 淡々とした表現が しばしば見られるとしています。

 自分の問題行動や 病的な状態を、

 生活の延長線上 -- 人生の流れの中に 位置づけているように感じられると。

 「魂の穴」 は 僕も読みましたが、

 夫の浮気のシーンを 目撃するなど 衝撃的な体験などのわりに、

 確かに インパクトが薄い印象を 持ったことを覚えています。

 これは 林氏が述べているように、

 離人感や脱現実感が 生じていた可能性も 影響しているかも知れないとも思えます。

 精神病や身体疾患の 患者の闘病記は、

 病にいかに立ち向かったか という姿勢で書かれているのに対し、

 ボーダーの人の著作は、病気と闘う構えが 前面に出ることは少ないといいます。

 それは病を 異物と見るのではなく、自分の振る舞いとして 身近に体験され、

 自分自身の心の問題だと 捉えているからではないかと 記されています。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/55475839.html

〔 「パーソナリティ障害とむきあう」 林直樹 (日本評論社) より 〕
 


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