「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

少年院  指導名目に 「泣かす」 (2) -- 矯正の現場 (10)

2012年01月10日 10時06分23秒 | 罪,裁き,償い
 
(前の記事からの続き)

 広島少年院はその以前、 規律が大きく乱れました。

 新任の職員は なめられて指導できず、

 少年たちは 好き勝手にやっている状態でした。

 職員に  「あのような時代には 絶対に戻りたくない」 という意識が、

 根強く引き継がれていたといいます。

 法務省が 全国の少年院の職員に 行なったアンケートでは、

 過去に暴力行為などの 虐待をしたことがあるという回答が 1割ありました。

 元法務教官は、

 「暴力に頼るのは論外だが、 少年院では 施設の秩序維持のためには、

 少年たちを 厳しく統制せざるを得ないと 考える傾向がある」 と指摘します。

 ある法務教官は、 一人の少年のことが 忘れられません。

 交際相手を巡り トラブルになった男性に 激しい暴行を加えた少年は、

 「被害者は自分だ」 と 教官に食ってかかるだけでした。

 しかし、 時には個室で生活させ、 他の教官も含めて話すうち、

 家族がアルコール依存症で、 暴力を受けて育ったことを 語り出します。

 「被害者にどうやって 謝ればいいでしょうか」 と

 相談してくるまでになったのです。

 「力で抑え込んでも、 問題の根本は解決しない。

 大切なのは、 自分を受け入れてくれる 人がいると、 少年に知らせること」

 この法務教官は 今もそんな思いで、 少年たちと向き合っています。

〔 読売新聞より 〕