「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

触法精神障害者と 刑事責任能力 (4)

2010年05月29日 20時03分16秒 | 凶悪犯罪と心の問題
 
(前の記事からの続き)

 責任能力のない者を 処罰してならないのは、

 「責任主義刑法」 という 刑法の大原則です。

 刑法39条は それに基づいたもので、

 その対象者は 刑罰ではなく医療の対象になるのです。

 では 精神障害者は、 一般の人より 犯罪を犯しやすくて 危険なのでしょうか? 

 精神障害者の犯罪率は、 一般人の 約三分の一だと言われます。

 ただ、 殺人や放火などは 精神障害者の割合が高いようです。

 しかしそれらの人は、 犯行時に治療を受けていなかったり 中断している場合が多く、

 適切な治療をしていれば 防げる可能性が高かったでしょう。

 治療を受けられる社会体制を 整備する必要があります。

 それには、 精神障害に対する 偏見を改め、

 患者が病院へ 行きやすくすることも大切です。

 再犯率においても、 精神障害者は 一般人より低くなっています。

 殺人の再犯率は 双方でほとんど変わらず、

 放火のそれは 一般人のほうが かなり高いということです。

 正しい情報によって、 精神障害者に対する 誤解を解消していかなければなりません。

 精神障害者に 自傷他害の恐れがある場合、

 強制的に入院させる 措置入院の制度は、 治療という 本人の利益のためです。

 それに対して、 治安維持のために 入院させるのは、

 刑罰に代わる 処罰としての拘束にもなりえます。

 これは、 かつて否定された 保安処分に通じるもので、

 危険な考えだと 言う人もいます。

 治療のための入院と、 治安のための入院は、

 厳に分けて考えなければならない ということです。

 正しい情報や解釈によって、 精神障害者と理解し合い、

 互いに共生する 社会にしていきたいものです。

〔参考文献:
http://www.seirokyo.com/archive/folder1/shokuhou/seimei/0109satomi.html
http://www.kyotoben.or.jp/siritai/menu01/i22.html 〕
 
(次の記事に続く)
 
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