BPDのリスク因子は、 生物学的要因と環境的要因が 考えられます。
生物学的要因には、 物理的脳, 化学的脳, 遺伝の3つの部分があります。
物理的脳はハードウェアで、
脳スキャンによって、 BPDの人の脳が 違うことが見られます。
化学的脳はソフトウェアで、 神経伝達物質を通じて 行なわれる伝達です。
このバランスが崩れると、 考え方, 感じ方, 振る舞い方が荒らされてしまいます。
遺伝は青写真のようなもので、
いくつかの遺伝子の 組み合わせによって、 BPDの発症の可能性が 高くなります。
遺伝, 脳, 環境は、 相互に作用して BPDを生み出します。
チョコレートケーキから 砂糖, 卵, 小麦粉を分離できないように、
互いに織り合わさっているのです。
相互作用の詳細については、 なお 分からないことが沢山あります。
大事なのは、 ある人の環境が BPDを引き起こすとは 示されていないことです。
フリーデル博士は こう書いています。
「同じ虐待, 別離, 悪い子育てにさらされた 多くの人々が、
境界性人格障害を発症せず、
一部のBPD患者は こういった環境的リスク因子の どれも経験していない。」
「ある人が 境界性人格障害を発するには、
生物学的リスク因子と環境的リスク因子の、
何らかの 決定的な組み合わせが 必要である可能性が 非常に高い。」
〔 「BPDのABC」 ランディ・クリーガー / E・ガン (星和書店) より〕
最後の部分、 BPDの人の一部は 虐待や不適切な生育環境を 全く経験していない、
というのは 注目すべきことです。
以前は 親の育て方ばかりが 悪者にされてきましたが、
生育歴には一切 問題がないケースも あるということです。