「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「クロッシング」 (2) (トークショー)

2010年05月06日 20時05分03秒 | 映画
 
(前の記事からの続き)

 「クロッシング」 は、

 08年の アカデミー賞外国語映画部門・ 韓国代表作品に選ばれた 問題作ですが、

 日本では その公開が難航しました。

 09年の春に、 シネカノンで公開される 予定だったところ、

 同映画館は経営困難で 廃業してしまいました。

 その後、 この秀作に 大手配給会社は手を付けず、

 弱小・ 太秦 (うずまさ) の林三四郎代表が、

 「我々がやらなくてはならない」 という意気込みで、 公開にこぎ着けたのです。

 大手映画配給会社だけでなく、 日本という国や、 我々国民も、

 隣国での惨状に 目をつむりがちです。

 自分たちにできることは、 せめてこうしてブログなどに 書き込むことでしょう。

 映画を観た当日は 偶然、

 コラムニスト勝谷誠彦氏と 加藤博氏によるトークショーがあり、

 幸い とても貴重な話を 聞くことができました。

 ふたりは以前 週刊文春で師弟関係にあり、 北朝鮮への潜入取材の経験もあります。

 加藤博氏は、 ベトナム, 東欧, ソ連など、

 様々な歴史的場面を取材し、 現在は 脱北者の支援活動をしています。

 02年には 中国公安当局によって拘束され、

 1週間にわたる 拷問を受けた 体験もある人物です。

 日本当局は 加藤氏が囚われたときも、 何の情報も 手立てもなく、

 救出のために 何もすることができませんでした。

 トークショーで勝谷氏は、

 こういうことも知られていない 日本という国を、 痛烈に批判していました。

 瀋陽の日本領事館で起きた  “ハンミちゃん事件” は 

 多くの人が覚えているでしょうが、

 あのとき脱北者に 手を貸すでもなく、 警官の帽子を のんびり拾っていた領事館員。

 それが日本人の姿勢を 象徴しているでしょう。

 最後に 勝谷氏は  「クロッシング」 について、

 神の偏在と、 それでも 万人の上に降る 雨という自然の普遍、

 それを描いた 美しい映画だと述べていました。
 
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