「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

触法精神障害者と 刑事責任能力 (3)

2010年05月28日 21時15分50秒 | 凶悪犯罪と心の問題
(前の記事からの続き)

 罪を犯した精神疾患者の 治療や矯正は、 自傷他害の恐れがある場合、

 病院や施設に 入院・ 入所して行なうものです。

 従って 自由は拘束されます。

 治療, 矯正, 再発防止の責任は、 むろん国にあります。

 そして 言うまでもなく、 精神疾患者には人権があります。

 むしろ 自立して生きていけない面、

 普通の市民以上に 守られなければならない存在 ともいえるでしょう。

 いつ退院・ 退所していいか という決定は、

 個々のケースで それぞれに判断していくしか ないと思います。

 再犯を防ぎ、 市民の安全を守ることは 何よりも大切ですが、

 だからといって精神疾患者を 無闇に拘束することはできません。

 暴力団組員だというだけで 逮捕できないのと同じように。

 退院・ 退所の判断に 決して間違いがあってはいけないわけですが、

 人間が行なう以上、 冤罪が起こりうるのと同じように、

 完璧はないと 言わざるを得ないのかもしれません。

 (すでに起こったことを 判断するより、

 将来のことを判断する方が 難しいと言えるでしょう。)

 人権の尊重と、 社会の安全と、

 究極のところで 人間の叡智を 絞っていくしかないのだろうと思います。

 かつて ハンセン病患者などをはじめ、

 ハンディを持った 数々の人たちに 人権が認められず、 不条理な偏見 差別を受け、

 悲惨な不幸を 生んできた時代を通して、 社会は人権意識を 発達させてきました。

 今度は、 触法精神障害者の番だと 言えるかもしれません。
 

〔参考〕

 加害者の甦生プログラムには、  「アミティ」 がとても有効とされています。

 下記の記事から連載しています。

http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/30977301.html

 被害者への心のケアとしては、 心理カウンセリングは元より、

 アメリカでは 殺人事件の被害者遺族と 死刑囚の家族が 共に旅をして、

 和解と癒しを求める  「ジャーニー・オブ・ホープ」 が行なわれています。

http://homepage2.nifty.com/shihai/report/sakagami/1.html

 被害者遺族と死刑囚本人が 面会する試みもありました。

(次の日記に続く)
 
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