さわさきさんから紹介してもらった本。(たぶん本人は読んでないと思う・笑)
小柴昌俊氏の弟子として、スーパーカミオカンデを指揮した故・戸塚洋二・東大特別栄誉教授が、ノーベル物理学賞を目前にがんを患い、療養中の最期の1年間のブログを親交のあった立花隆氏が編集したもの。
2000年に最初の大腸がん手術を受けたあと、がんは肺、肝臓、骨、脳へ転移。肺への転移の時点で仕事を優先し、化学療法の開始を半年遅らせたことが結果的には命取りになったようだ。しかしいざ治療が開始されると、自分の病状を客観的に見る姿はそれはもう徹底している。医師からCTなどの画像をもらってはそれをデジカメで撮影し、腫瘍の大きさを数値化して変化を追うなど、まさに科学者ならではのがんとの向き合い方をする。
図書館で借りて、ぱらぱら読もうと気軽に読み始めたのが、抜けられなくなった。
これは久しぶりに繰り返して読む価値のある、「買い」の本だと思う。
ブログだから話題は多岐にわたっていて、あたたかい、温厚な人柄がつたわってくる。(ブログって人柄が文章に出るのね、どうしよう、とわが身を振りかえった。)わたしには当然ながら量子力学はちんぷんかんぷんで、そういうところは読み飛ばしたが、何よりがん患者としての人生観は、重い直球を受け止めたような衝撃があった。
以下、心にのこった点。
●健康な人は将来の時間スケールを気にかけないが、自分の将来に対する時間スケールは2、3ヶ月。今の体調をとにかく2、3ヶ月維持したい。
●私は別にがん克服を人生目標にしているのではない。
がんを単なる病気の一種ととらえ、その治療を行っているに過ぎない。
●私にとって一番の希望は、がんが完治する必要はない、今の状態でいいから少しでも長生きがしたい。
5年生存率というのは参考にはなるが、わが人生にとってはほとんど意味のない数値。
科学者として、自分のなかで宗教との折り合いをどうつけるかもひとつのテーマにしていた。「信じられる神がある人は幸せ」といい、無神論者であることも自身ではべつに肯定していなかったように思える。あのマザー・テレサが、人知れず神と、キリストの実在を疑い、そのことに悩みながら、それを微笑で隠して“聖人”であり続けた(そういう自筆書簡が残っている)ということに、氏は少し安堵するのだが、この事実は本題とは別のところで衝撃だった。そのおかげでものすごく別世界の人だったマザー・テレサという女性に、少しだけ親近感を持てたのだった。
これから図書館に返しに行くのだけど、やっぱり買おう。
タイ・ワットポー寺院内の「スリーピング・ブッダ」の足のみ。
あまりにもブッダが近くで寝ておられるので、全身を撮ることができなかったのです(涙)
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7月にNHKで、戸塚教授のドキュメンタリーが放送されたので観ましたが、辛かったです・・・。
その再放送、昨日も流れていたので見ました。
テレビというものの特性か、番組は本に比べてずっと情緒的な感じでした。
確か、コンクールのときに宿泊したホテルで、朝食のときに新報かタイムスの書評欄で見かけた本です。
結果的に、良書を紹介できたようで、よかったです。私もいずれ読もう。
ともあれ、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いしま~す^^)v
別件で申し訳ありませんが、
メディアドクター研究会の件で、ご連絡したいことがありますので、私のブログに非公開でメールアドレスを記載していただけないでしょうか。