てつがくカフェ@ふくしま

語り合いたい時がある 語り合える場所がある
対話と珈琲から始まる思考の場

てつがくカフェ@ふくしま〈3.11〉特別編6のご案内

2016年02月29日 04時43分14秒 | 開催予定




てつがくカフェ@ふくしま 特別編6
東日本大震災・福島第一原発事故から5年が経とうとしています。
あの日、私たちの<たましい>と生きることの根源が揺さぶられました。
あの日に福島にいた者、いなかった者。
その後、福島にとどまった者、去った者、訪れた者、帰ってきた者。
誰もが傷つき、誰もが試され、何らかの選択を迫られました。
あの巨大な経験が時とともに風化の危機にさらされています。
あの日から5年、今一度あの経験を胸に刻む時間を共有したいと思います。


【テーマ】<揺れるたましい>と生きることの根源
   ―震災・原発事故から5年あの日を振り返る―

【日 時】3月6日(日)
     15:00~18:00
      
【場 所】ホテル辰巳屋 8階 瑠璃の間


参加費無料・飲み物代無料
事前申し込み不要(直接会場へお越し下さい)
問い合わせ先:fukushimacafe@mail.goo.ne.jp


【第1部】 ゲストスピーカーとともにあの日を振り返る
15:00~16:00

ゲストスピーカー 中間玲子(元福島大学、現兵庫教育大学准教授)
元福島大学・心理学准教授で〈3.11〉当時は兵庫教育大学に転出されていた中間玲子氏をお迎えし、論文「「揺れるたましい」と「死の欲動」 ―被災しなかった私の震災体験」を手がかりに、特別編世話人の6名とともにあの苦しかった日々を振り返ってみたいと思います。

中間さんの論文はこちらから閲覧できます。
「揺れるたましい」と「死の欲動」 ―被災しなかった私の震災体験
 (山中康裕監修『揺れるたましいの深層 こころとからだの臨床学』創元社、2012年)



【第2部】 哲学カフェ「<揺れるたましい>と生きることの根源」
16:10~18:00

震災・原発事故から5年が経ち、すべてが忘却の彼方へと葬られようとしている今、会場の皆さまとともに<たましい>と生きることの根源を揺さぶられたあの日々を振り返り、もう一度心に刻む時間を持ちたいと思います。

【テーマ設定の趣旨】

2年前のことです。
ワタシは県立図書館の震災コーナーで、偶然、手にした中間玲子さんの論文「「揺れるたましい」と「死の欲動」―被災しなかった私の震災体験」に衝撃を受けました。
中間さんとの面識はなかったものの、ワタシはいろいろな偶然から震災・原発事故のさなかに、彼女から放射線に関するさまざまな情報をメールで教えていただいていました。
その当時、とても冷静かつ的確な中間さんの対応に「さすが研究者だなぁ」と感嘆していたものですが、その彼女がまさか被災地外で自分を責め苦しんでいたという事実を、その論文を通して知り、とても驚いたのでした。

中間さんは、かつて福島大学に勤務されていたのですが、その地が原発事故で苦しんでいるとき、そこに自分がいないという「負い目」に苛まれたというのです。
原発事故の被災地から避難した人々の「負い目」について耳にすることはあったものの、まさか被災地の外部でそのような「負い目」に苦しむことがあるとは、想像もしませんでした。

たしかに、その当時、被災地の内部と外部とのあいだでは様々な混乱と対立が生じていました。
あのとき、ワタシ自身も色々な人と対立しましたし、引き裂かれた人間関係もありました。
原発事故が進行する中、やりきれない怒りの矛先を色々な立場の人に向けたものです。
あれから5年を経てもなお、いまだにその相手を赦せない自分がいます。
けれど、その一方で、5年近くも経つのに、その相手を赦せない自分とはいったい何なのかと、虚しくなるときもあります。

あれだけの出来事の後に、のうのうと教員として働き続けている自分自身をもてあますこともあります。
あのときに、未曾有の状況の中をともに格闘した当時の同僚たちとは、あれきりあの出来事について何も語ることもなくなりました。
いまだ整理できないそれらの思いが、中間さんの論文とどこか重なり合ったのです。
読んだ当初は、世話人の小野原にもその論文の内容を伝えることができませんでした。
おそらく、直感的にあの論文を咀嚼するには、それなりの時間を要すると思ったのでしょう。

そして、あれから、ある程度の時間が経ちました。
そろそろ、あの当時の自分に向き合えることができるかもしれないし、向き合わなければいけないと思えるようになりました。
あの時の自分の判断や為したこと、考えたこと、あのとき共に闘ったり、分断した他者との関係のこと。
あのときの自分にいま何が言えるのか。

震災・原発5年目を迎える今回の〈3.11〉特別篇では、
第1部で中間玲子さんの論文をもとに、ご本人をお招きしてのトークセッションを行います。
第2部では、第1部での議論をもとに、参加者それぞれが5年前に「揺れた魂」を見つめ直す哲学カフェの時間としたいと思います。

どなたでも参加は自由です。
震災・原発事故に向かって思いのたけを語りあいましょう!