21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

高速鉄道のフルパッケージ

2015年09月30日 11時06分56秒 | Weblog
 インドネシアでの高速鉄道計画受注に、日本は失敗した。 インドネシア政府が費用・責任負担を嫌ったためらしい。

 高速鉄道開発を「フルパッケージ」で進めれば、民間資金のみでの建設が可能だ。
しかし、縦割り行政中心の日本では、横断的にフルパッケージを提案することができない。 柔軟性に長ける中国の後塵を拝することになる。

 現地政府にしてみても、インフラ(建物・設備)だけを売りつけるところに依頼するよりも、フルパッケージで経済発展を後押ししてくれるところと組みたいのは当然だろう。

 鉄道を中心にフルパッケージで不動産開発をしている民間鉄道会社は多い。 現地で、1億人を超える人口(潜在消費者)を考えれば、フルパッケージが生み出す利益のみで高速鉄道開発は十分に可能だ。 日本政府は今回の失敗を反省して、今後は民間のノウハウを活用して、海外での高速鉄道開発・高速道路開発を進めるべきだ。


 鉄道開発の「フルパッケージ」には、少なくとも下記が含まれる。 似た発想は、高速道路開発でも利用される。

*電子マネー (スイカなど)
*商業ビル開発 (駅ビル、オフィスビル、ホテル、映画館、美術館等)
*湾口開発 (国際物流)
*テーマパーク・競技場 (東京ドーム、甲子園など)
*観光向け利用 (九州ななつ星、等)
*高速ネット通信サービス (鉄道建設に合わせて、光ファイバーも整備する)

*鉄道網整備
*鉄道網の保守・点検
*鉄道運行管理
*技術者・従業員の育成



車両や鉄道を「売りつけるだけ」の日本型営業姿勢では、高速鉄道導入を検討している地域から理解を得られることは少ないだろう。 多くの発展途上国は、フルパッケージでの地域経済発展を求めている。

起こるべきインフレ

2015年09月29日 23時41分05秒 | Weblog
 日本銀行の量的緩和政策では、インフレは起きない。 インフレを起こすためには、貨幣・資金の「流通量」を増やさなければいけないが、日銀の量的緩和政策では「供給量」しか増やせていない。 そのため、現状レベルの「異次元量的金融緩和」では、インフレは起きない。 理論的にも起きないし、現実にも起きていない。
 インフレが起きるためには、消費モノの需給が変化しなければならない。 「供給量」が増えても需給に影響を与えることはない。需給に影響を与えるためには、「流通量」を変化させる必要がある。*これは、対インフレ政策でも、対デフレ政策でも同じである。


 「流通量」を増やす政策はあるが、それは政府・国会の担当分野が大きく、日本銀行ができることは限られている。 日本銀行は、「流通量」が増加して2%程度の低インフレ状態になりまで、徹底的に「供給量」を増やすべきだ。 つまり、量的金融緩和をさらに拡大するべきだ。 年間の供給量・買入れ額を120兆円程度にまで増やすべきだろう。

 「供給量」を増やすことなく「流通量」を増やそうとするならば、下記のような政策が考えられる。 つまり、資金コストを上げて、手元資金が常に流動状態に向かうようにすればよい。
*資金税の導入 (現金資産・銀行への預金額に、年間0.5%の資産税を課税する)
*公的年金制度の廃止 (民営化する、民間の保険会社に移管する)
*最低賃金の引き上げ +所得税控除枠の廃止
*電子決済の拡大 (電子マネー、カード決済の普及を支援する)


 一方で、日本銀行の政策とは全く関係なく、日本ではインフレが起きる。 約3年程度後から日本ではインフレが起きるが、これは日本銀行の量的金融緩和政策とは全く関係ない。
日本でインフレが起きる原因は、「労働力不足」である。

日本では人口の減少が進んでいる。そのため、社会の各所で労働力不足が表面化している。今のところ、企業努力で吸収されているため、物価に強い影響を与えてはいないが、将来的には労働力不足が強いインフレ圧力になる。
 社会の高齢化で労働力が減る。生産能力が落ち込み、製品の供給能力が落ちる。一方で、引退した高齢者も「消費者」としては市場に残り続ける。労働力の高齢化が進むと、製品の供給力が落ち込む一方、需要の落ち込みは少ないため、インフレ圧力になり物価が上昇する。

 これは、コスト・プッシュ型のインフレである。もし日本銀行がインフレ退治を目的として「供給資金の引き上げ」や「政策金利の引き上げ」を進めても止められない。 逆に、日本銀行の金融引き締め政策が企業の設備投資を減少させれば、製品の供給能力がさらに落ち込み、インフレをさらに加速させるかもしれない。 いわゆる、スタグフレーションと呼ばれる状態である。

 この「コスト・プッシュ型インフレ」への対策は単純明快である。
労働力不足 +生産能力の減少がインフレの原因であるから、この二つの要因を取り除く政策を取ればよい。 例えば、
*移民の受け入れ (労働力不足の解消)
*ロボット開発 +導入への補助金 (人の労働力不足をロボットで補う)
*AI開発への補助金 (人の知的労働力不足をロボットで補う)
*ロボット労働力への規制緩和 (ロボット・AIの導入を促す)
*再生可能エネルギーの研究拡大 (化石燃料の輸入を減らす・なくす)
*資金供給を拡大して、企業の設備更新を支援し、人的生産性を改善させる


貨幣・資金の「供給量」とインフレ率には関係がある、と信じている人がいるが間違っている。供給量とインフレ率の間には関係がない。 細かく分析をすると、あたかも関連性があるように「観察できる」だけである。 
人工的に「供給量」を増やしてもデフレ脱却はできないし、人工的に「供給量」を減らしてもインフレ退治はできない。 スタグフレーションを防止するためには、インフレに関する正確な知識が求められる。



まとめ
近い将来に日本はインフレになる。 年率5%+
しかし、このインフレは日本銀行の量的緩和政策とは、全く関係がない
日本銀行の政策は、物価に影響を与えない
インフレの原因は、労働力不足→製品供給能力の減少である。 消費者の需要に対して、十分な製品を供給できなくなるためである。
インフレ対策として、金融緩和を続ける必要がある
インフレ率を抑えるためには、企業に設備更新、生産性の向上を促す必要がある
ロボットの導入、AIの導入を進められなければ、インフレ率は低下しない

もしくは、十分な数の移民(約3,000万人)を受け入れて、労働力不足を補う必要がある。




「安倍売り」が止まらない

2015年09月29日 15時00分03秒 | Weblog
テレビや議会などで、安倍首相が経済政策(アベノミクス)を説明すると、翌日の株価が下がる。

ってのが、繰り返されている。 それを称して「安倍売り」と呼ぶ。

安倍首相が米議会で演説したり、国連で演説したり、記者会見を開いたりして、直接アベノミクス経済政策を発表すると、株価が下がる。 直接的な関連性は分からない。
 経済政策に具体性、実効性、将来性がないために失望売りが出るのではないかと思われる。



9月24日には「新・三本の矢」として追加の経済政策を説明した。 翌日25日は、配当金・株主優待の権利落ち日だったこともあり、日経225は、17,600円前後から17,900円前後に上昇した。

しかし、今回はここまで。
週が明けてからの日経平均株価は下げ止まらず、この月・火で約1,000円下落した。
この1000円の下落が「安倍売り」だろう。



安倍首相が夢から覚めて、現実性のある経済政策に手を付けるのは、いつになるのだろう?

 国会議員として初当選した当時には21,000円以上あったNikkei225指数も、今日は17,000円以下に落ち込んでいる。
 当時は世界トップレベルだった「一人当たりのGDP」も、今となっては上位陣の3分の1程度しかない。


経済政策を第一優先に

2015年09月28日 15時10分53秒 | Weblog
安倍首相は国会議員として、低迷する日本経済の没落を見てきた、と言える。

プロフィールによると、初当選は1993年?
 1人当たりのGDPで日本経済を見ると、当時は世界第3位だった。 金額ベースでは、世界トップとの格差も20%前後だった。

2015年の統計では、日本の一人あたりのGDPは、世界25位前後である。金額を見ると、世界トップの約4分の1に沈んでいる。

 1993年当時に肩を並べていた各国が、経済規模を約4倍に膨らませている間、日本人はほとんど豊かにならなかった。 安倍首相は、それを見てきている。

 日本が「失われた20年」を過ごしている間に、先進各国は4倍に豊かになった。


1993年当時の日本に追い付くことは難しいだろう。 それでも、経済政策を第一優先に進めて、少しでも日本人が豊かさで先進国に追い付けるようにしたい。


 政治家としての階段を上っている間に、日本人の豊かさは4分の1になった。 現状を打破するためには、過去にとらわれない突破力が求められる。 政治家としての成功の歴史がそのまま、国家としての失敗の歴史に重なっている。

首相のトップセールス

2015年09月28日 14時49分18秒 | Weblog
国連会議に合わせて、世界中の首脳がアメリカに集まっている。

ボーイングで航空機を300機発注する等、中国のトップが「爆買い」で外交を進めているのに対して、日本の首相は「営業マン」としての活躍が求められるなど、経済力の差が明確に出た。


低成長に苦しんでいるとはいえ、経済大国である中国は、爆買いをする資金体力があり、アメリカ製品を大量に買い込むことで、親中外交を進めていける。

マイナス成長に落ち込んでいる日本経済では、アメリカ製品を大量に買い込むようなことは難しく、何とか日本製品を買ってもらえるようにトップセールスで営業をするしか手がない。


アメリカでの外交日程を通して、日本と中国の明確な差が出た。
経済大国として、中国は豊富な資金力を生かして、外交を進められる。
マイナス成長に落ち込んでいる日本は、政治的な外交よりも、経済的なセールス活動が中心になる。

 本音では、どこの国も、輸出を増やし、輸入を減らしたい。 日本外交は、自分たちの売りたいものを一方的に押し付けるだけ。 独善的なだけの交渉では得られるものも少ない。


 交渉相手の立場に立ち、相手方が売り込みたいものを積極的に受け入れるぐらいの「懐の深さ」は、無いだろうなぁ・・・。

「失われた25年」の経済的停滞は、「失われた30年」になるのだろうか?



山本五十六

2015年09月27日 22時57分52秒 | Weblog
山本五十六は、日本サラリーマンの手本のような人物だと思う。

上司からの不合理な指示にも、じっと耐え、従う。 「忍耐」を美徳だと考えている。

東芝の粉飾会計、オリンパスやカネボウの損失隠し、王子製紙の資金流用問題も、組織内に似たような企業文化があり発生した事件だろう。


 「組織の論理」を優先して、「国民の利益」や「倫理的な判断」は考えられない社会性
そこに問題がある。 70年前の太平洋戦争で焼け野原になった日本は、高度経済成長の短い期間を経て、「失われた25年」と呼ばれる経済停滞期から抜け出せないでいる。




真珠湾攻撃に使用した軍事力を利用して、山本五十六が東京を空襲していれば、歴史は大きく変わっていただろう。

インフレ率と労働力

2015年09月26日 10時34分28秒 | Weblog
物価(インフレ・デフレ)は、モノ・サービスの需要と供給のバランスで決まる。 それが基本。

外的な要因で、需要や供給が影響されるが、物価に直接的な影響は与えない。直接的な影響を与えるのは、あくまでも需要・供給のみ。

市場への資金供給は、需要(もしくは供給)に影響を与えるが、物価には影響を与えない。
供給された資金が消費に回れば、需要が押し上げられ、インフレになる。
供給された資金が投資に回れば、供給が押し上げられ、デフレになる。


労働力も同じである。
減少した労働時間が消費に回れば、需要を押し上げ、インフレになる。
減少した労働時間で生産性が向上すれば、供給が増加し、デフレになる。



物価に影響を与える直接的な要因は、モノ・サービスの需給バランスのみ。
それ以外の要因は、直接的な影響を与えない「外的要因」 そのため、需給バランスにどういった影響を与えているのかを正確に分析しなければならない。


労働市場は、物価に間接的に影響を与える(こともある。) しかし、労働市場の変化が物価に直接的影響を与えることはない。


経済学とは何か?

2015年09月19日 18時43分20秒 | Weblog
経済とは何か?
経済学とは何か? 目的とは?

紙幣とは何か?
現金とは何か?
クレジットとは? 電子マネーとは?

債券とは何か?
公債・国債とは何か?

流通性とは?

資本とは何か?
労働とは何か?


利益とは何か?
幸せとは何か?

国際連合本部ビルの老朽化

2015年09月16日 23時41分38秒 | Weblog
国際連合は1945年に設立されて、その本部ビルの老朽化が大きな問題になっている。

ニューヨーク・マンハッタン島にあり、不動産価値は高い。
一方、本部ビルを立て直す土地を取得するコストも、建築コストも高くなる。

どこかの国が土地・建物・交通インフラ・治安設備等、まとめて寄付ができれば話が早いが、どこの国も土地・予算に余裕がない。

国際都市のど真ん中に土地を確保できればいいが、コストが高くつく。NYのビルを立て直す間だけにしろ、本部ビルがどこに移るか? は国家間の力関係に影響を与える。 場所の選定も簡単じゃない。

ど田舎の真ん中で、土地を確保すれば、コスト・セキュリティの問題は解決するだろうが、アクセスの問題がある。 会議出席者の短期的な宿泊施設、従業員の生活インフラ、研究者の教育施設も含め、最先端の街を丸々つくる必要がある。 各国大使館・領事館の設置場所も含めて、いろいろ複雑な問題がある。


そんなこんなで、国連本部ビルの建て替えの話が進まない。






 現在の本部ビルがあるNYから時差がちょうど12時間なこともあり、中国が建替用土地・建物を空港付で寄付したら面白いのに。
 賛成・反対の賛否両論が世界中から上がってきて、しばらくは国際ニュースが面白くなりそう。

 経済成長を再加速させるために、公共投資プロジェクトが欲しい中国。 先進国に比べ、安い労働力があり、建設コストを抑えられる。 哀しいことに、土地の集約も先進国より早い。


って、国連本部ビルが、NYから中国に移る日が来るのかな?
いずれにせよ、夏涼しくて、冬暖かい場所がいいはず。 笑

「一票の格差」と違憲状態の国会

2015年09月16日 23時34分09秒 | Weblog
前々回の衆議院選挙の後、「一票の格差」に関して、最高裁判所から「違憲状態」だとの指摘を受けつつも無視をして、選挙制度改革を進めることもなく前回の衆議院選挙を進めた。

まず、前回の衆議院解散・総選挙は必要だったのか? との疑問がある。
また、衆議院の違憲状態の問題、一票の格差の問題はどうなるのか? とも思う。
選挙自体が憲法違反と判断されて、「選挙無効」と判断される可能性は?



その上で、「合憲性に疑問」のある安全保障関連法案を今国会で進めることに疑問がある。



総選挙での一票の格差で、国会議員が違憲状態では? と問題がある中で、憲法上の合理性に疑いがあり、有権者から信用されていない法案を進めることに利点はあるのだろうか?





後日、加筆予定

2022年 預金封鎖

2015年09月09日 21時42分25秒 | Weblog
 このままのペースで国債・公債の発行が続くと、2022年頃に発行残高が1500兆円を超える。
1500兆円の借金に対して、平均利払いを2.5%とすると、金利負担分だけで、年間37.5兆円になる。

2020年の東京オリンピック後、不動産バブル崩壊や経済的停滞、税収の減少を考えると、2022年に利払い費だけで一般税収を超える可能性が高い。

流れとしては、
2021年初めに日本で不動産バブルの崩壊、
2021年末ごろから海外への資金流出が加速し始める。資金・人材の流出を抑えるために、
2022年の9月(金融機関の半期決算前)に、日本で預金封鎖が起こる。 
かもしれない。

「預金封鎖」の形は、ギリシャで行われたケースとほぼ同じだろう。
銀行窓口・ATMから引き出せる金額が毎日1万円以下に制限される。

 つまり、毎日ATMに並べば、月30万円近く現金を引き出せるわけだから、ほとんどの国民生活にとって、「預金封鎖」はあまり影響がないかもしれない。 国民の平均月収が20万円以下なので、30万円までの引き出し限度枠は十分だ。
 簡単な対策としては、複数の銀行に分けて口座を持っておくことがある。 一つの口座から1万円しか引き出せなくても、3つの口座があれば計3万円を引き出せる。

 預金保護の対象になるのは、各金融機関に付、1000万円までだ。金融機関ごとの預入金額が1000万円を超えないように注意する必要がある。複数の金融機関を使用して、預金額を分散させる必要がありそう。 だが、一部の富裕層を除いて、ほとんどの国民には関係ない。

 企業の口座間の電子取引に関しては、国内企業間では、規制の対象にならないかもしれない。企業間の資金の動きを規制されてしまっては、経済活動ができない。

 個人口座でも、家賃・公共料金・電話代の引き落としは、規制の対象にならないかもしれない。 どの程度短期金利が変動するか?の問題であるが、クレジットカードは、完全に使えなくなる可能性が高い。
 電子マネー等は、運営をしている企業が倒産しない限り、使用を続けられそうだ。

つまり、ほとんどの国民にとって2022年の預金封鎖は、大きな影響を与えない。
海外旅行に行くことが、ほぼ不可能になるぐらいだ。
資産額の大きい富裕層に大きな影響が出るだろう。

同時に円安が進み、輸入品の価格が上がるだろう。ガソリン価格が上がるが、困るのは自動車で通勤している金持ちだけだ。 日頃から、自転車で通勤をしていれば関係ない。




 明治維新(1868年)から太平洋戦争敗戦(1945年)までの期間は、77年だ。1945年に77を足すと2022年になる。 論理的ではないが、2022年に何か起こりそうな気がする。



 「預金封鎖」では、「現金」が「紙切れ」同然になる。 しかし、現金はもともとが「紙切れ」なのだから、預金封鎖が起こったところで、元に戻るだけだ。 多くの人は、今も昔も、紙切れのために汗水をたらして働いている。
 「貨幣収集家」でもない限り、「お金のため」に働いている人はいないだろう。すべての人は、お金で買えるかもしれない「何か」のために働いている。 今一度、自分の生活を見つめなおして、なんのために働くのか?を考え直す時が来ているのかもしれない。



アップル創業者の言葉を借りると、
[毎朝、鏡に向かって『もし今日が自分の最後の日だとすれば、今日しようと思っていることが、本当にしたいことだろうか?』と自問するようにしている。もしその答えが「ノー」だという日が何日も何日も続くようであれば、何かを変える必要があると思う。]

100万人の難民受け入れ

2015年09月06日 22時55分09秒 | Weblog
中東から欧州への難民の流れが止まらない。

「ゲルマン民族の大移動」では、ローマ帝国の崩壊を招いたが、今回は全く違ったケースになるだろう。欧州各国には難民を受け入れる準備がある。 経済的には、労働力が増え、個人消費が伸びることで、長期的にポジティブな影響を生み出すだろう。

 日本でも難民の受け入れを積極的に検討するべきだ。
年間1000人程度の受け入れでは、社会的な負担が大きい。 年間100万人規模で難民を受け入れるべきだ。


*毎年1000人の難民しか受け入れない場合、
国内の既存設備で難民を受け入れることになる。言葉・風習・習慣の違う人たちを同じ社会インフラで受け入れられるのか? ムリだと思う。
 例えば、公立小中学校の教師は、日本語を理解できない難民の子供に十分な教育を与えることができるだろうか? ムリだと思う。 (別の問題として、日本語を理解できる子供にも十分な教育を与えられていない)
 例えば、マンションの管理組合は、言葉の分からない難民の住民と協力して、マンションの修繕計画を立てることができるのだろうか? 難しいと思う。 修繕費の積立も問題になる。

ハローワークの対応は? 病院の受け入れ態勢は? 医療保険は? 年金は? 輸入食材への関税率は? 大学進学は? 柔軟性のない既存社会インフラでは、難民を受け入れられない。


*毎年100万人規模で難民を受け入れる場合、
 人口35万人前後の街(職住近郊型)を新しく3つ作ればよい。場所は、地方自治体がバブル期に工場用地として造成し、売れ残っている場所を使用する。
 新しい街、新しい社会インフラを始めから作るれるため、柔軟に対応することが可能になる。100万人の人口があれば、新しい街を作る価値は十分にある。 難民の移住で、労働力不足の問題も解決する。 特別なシステムが必要なケースは、下記のような点が考えられる。


 住居設計では、個人スペースと共有スペースのバランスを考えて、地区ごとのコミュニティを重視する。

 学校教育は、オンラインでの映像を多用する。年長者にサポートに入ってもらう一方、授業の中心を録画講義にすることで、教員育成の手間を省く。  児童労働を無くすため、授業出席数・成績に応じて、生活費を支給するようにする等
 大学への進学方法を検討する。海外の大学を誘致する等

 幼児・児童向けの医療制度を整える。専門のアプリをダウンロードしたタブレットを母親に配布し、健康管理をしてもらう。また、緊急性が高い場合は、そのタブレット端末を利用して医療機関に連絡が取れるようにする。

 労働先として、工場を誘致する。長時間労働を禁止して、多くの人が働けるようにする。各個人の以前の職業を活かしての独立・起業を支援する (飲食店、服飾系、他小売、サービス業、商社、銀行等)

 給料の支払、生活費の支出は、すべて電子マネーで対応し、現金の新規発行量を抑える。(それでも、「資金」の流通額は増える)

 貿易特区に指定し、食べなれた食材を無関税で輸入できるようにする。他、生活物資の輸入・製造に特別の配慮をする。等

 低賃金での労働を防止するため、高めの最低賃金を設定する。 時給 1350円等
労働法の周知・研修を徹底する。

 民主的な自治組織を育成する。持続可能な発展について、自己責任を認識してもらう。



100万人規模で難民を受け入れる場合、行政側の負担はほとんど発生しない。それぞれの「街」開発に責任を持つ民間企業を決め、コストを負担させればよい。新しく街を作り100万人分の労働力・消費が新しく生まれるところだ。 工場建設を計画する企業、オフィス開発を計画する企業、進出を考える小売チェーン店等、資金を出したい民間企業は多いはずだ。
 もし、「企業資金」だけでは足りない場合、特別目的子会社を設立して、株式なり債権なりを個人向けに発行し、寄付金を集めればよい。

 100万人の街を一つ作るわけではなく、35万人前後の街を3つ作る。これは、3つの街を競争させることで、より良い住環境を作ることを目的としている。 そして万が一、どこかの街が持続的発展に失敗した場合、他の2つの街で住民を受け入れることができる。




例えば、10人の難民を受け入れようとする場合、工夫が必要で大変な苦労をする。得るものも少ない。
しかし、100万人の難民を受け入れる場合、苦労は少ない。そして、儲かる。 消費税収入増、所得税収入増、法人税増。 人口が増え、個人消費が増えることで、デフレ・スパイラルからの脱却も進むかもしれない。


特に民間企業は、積極的に難民の受け入れを推進するべきだ。 異文化の街を国内に持つことで、新製品のテスト販売や工場の海外展開を検討する際に学べることが増える。海外でする失敗の数を減らすことができれば、企業の国際競争力も強化されるはずだ。

ソフトパワーを考える

2015年09月06日 22時25分18秒 | Weblog
 現在の安全保障政策では、ソフトパワーがないがしろにされ過ぎている。

国際問題の解決手段としては、軍事力を中心とした「ハードパワー」と信頼性を中心とした「ソフトパワー」に分けることができる。

理想論としては、国家が十分に国際的信頼を受けていれば軍事力がなくとも国際紛争は解決される。それがソフトパワーだ。 現実には、多文化・異習慣の国際社会で、そこまでの信頼を得ることは不可能に近い。

しかし、ソフトパワーがなければ、軍事力(ハードパワー)は意味をなさない。

 アメリカは、圧倒的な軍事力でイラク政府を消滅させた。しかし、アメリカ軍は中東で信頼されていないため(ソフトパワーがないため)、軍事力ではイラクを平和・安定させることができなかった。 イラク政府に代わり、イスラム武装勢力が地域的な勢力を伸ばしている。
 ハードパワーでイラク政府を消滅させたアメリカは、イラク以上に厄介な敵を作ることになった。 国家戦略的には、前進よりも、後退のように思える。
 アメリカ軍は、「救世主」でなはく「破壊者」として中東から評価されている。 アメリカ軍の中東での活動は、国益にも国際平和にも役立たなくなっている。


 日本の安全保障政策でも、ソフトパワーがないがしろにされているように思う。
自衛隊の海外派遣を検討する一方、国際紛争の被害者・難民に対して、あまりにも冷酷だ。
難民を助け、紛争の火種を抑えてこそ「救世主」として信頼される。 破壊行為、破壊行為の補助をしていたのでは、信頼を失うばかりだ。

 中東の紛争から多くの難民が生まれ、トルコ・欧州に流れ込んでいる。安全保障の議論では、「将来現れるかもしれない敵」を「破壊」することばかりが中心になっている。しかし、「今ここにいる難民」を助けることの方が重要なのではないか?

 「平和のための法律を作りたい」のであれば、将来の武力行使の議論を止めて、今できる人道支援をするべきだ。 日本国家が「救世主」としてのソフトパワーを得ることができれば、大きな国益につながる。


 先の3年間で、東南アジアからの難民を100万人、中東からの難民を100万人、アフリカからの難民を100万人受け入れるべきだ。 自衛隊は既に世界第3位の国防予算を持っており、軍事力(ハードパワー)をこれ以上強化するのは、費用対効果的に難しい。 同じ予算を難民救済に向ければ、ソフトパワーを強化して、国際社会での地位を確立することができる。



*補足として、
「難民」と「移民」は完全に別の存在だ。一般的に注目されている「移民問題」は、「難民」とは全く関係ない。 この二つは、完全に別の議題として明確に区別されなければならない。

経済対策最優先、だったはずが・・・。

2015年09月05日 20時23分39秒 | Weblog
選挙前は、景気対策最優先 だった気がする。

政権の第一優先は景気・経済対策で、そのために消費税増税のタイミングが選挙戦の争点になった、はずだった気がする・・・。

選挙から半年もたたないうちに、経済対策を捨てて、軍事政策に走り始めた。 なぜ?
5月、6月、7月と景気が浮揚する雰囲気があった時期であれば、「経済対策も同時進行で進めている」と口先で言って、経済政策の不備を覆い隠せた。 が、8月になって景気が躓くと、隠せなくなった。

安倍政権の流動的な支持者は、経済対策を期待している。 安全保障政策なんて、どうでもいい。
景気が回復する流れがあれば支持をするし、流れが途切れれば不支持に回る。 経済対策以外の政策は、政権支持率とは無関係だ。


TPP交渉は、完全に停滞している。
しかも、店頭で「バター不足」が問題になっている中、バターの輸入枠拡大の問題で合意できなかった(と、言っている)。本当の原因は分からない。ただ、バターを探している消費者・国民心情からして、完全に意味不明な言い訳だ。
バターが不足しているにもかかわらず、なぜ輸入量を増やせないのか?


株価の暴落が止まらない。
 株価は、短期的に乱高下する傾向にある。政府は長期的な視点に立って景気対策を取るべきであり、短期の株価の動きを気にするべきではない。
 しかし、株価が暴落しているタイミングでテレビに生出演した総理大臣が、景気対策には全く触れない点は、理解に苦しむ。 特に、経済対策を最優先に進める、と宣言をしていたにもかかわらず、経済の状態を示す株価暴落に全く興味を示さないのでは、国民の理解を得られないのではないか。繰り返すが、「株価対策」の必要はない。
 しかし、「経済政策」と「安全保障政策」のどちらの優先順位が高いと考えているのか? 分からない。明確な発言がない。 国民の間で、疑心暗鬼が膨らむばかりだ。 口先では「経済政策」でも、目に見える行動では「安全保障政策」ばかりを進めている。 「信用できない」と考える国民が増えて当然だろう。


GDPの成長率がマイナスだった。
 中国の景気減速が問題視されているが、それでも中国の経済成長率は7%前後だ。 少なく見積もっている評論家でも3%以上の経済成長率があるとみている。
 一方、日本の経済成長率は「マイナス」だ。 中国の経済状態を心配する声が、政治家から出ているが、理解に苦しむ。 マイナス成長だった日本政府が何もせずに、好成長を続けている中国経済に注文を付ける。 テストで赤点を取った生徒が、70点を取った生徒に注意しているようなものだ。「人のふり見て、我がふり直せ」 まず重要なのは、中国に景気対策を求めるのではなく、マイナスだった日本が景気対策をすることだ。
 他国の経済政策に注文を付ける一方、自国内では経済対策を取ることもなく、安全保障政策に注力している。 近代戦では、経済力=軍事力だ。 その点を理解することなく、経済対策をおろそかにして、安全保障政策を議論しているのでは、本末転倒だ。


デフレを止められない
 2015年4月までにインフレ率を2%前後にすると宣言したのは、「公約」ではなかったのか?
達成されることもなく、近い将来に達成できそうな見込みもない。 その上に、追加の対策(追加の金融緩和策)などもない。 諦めたように見えるが、明確な宣言もなく、説明もない。
 安全保障政策の議論よりも、優先するべき問題が山積しているのではないか?


日本経済には景気対策が必要だ。
 デフレを止め、経済を成長路線に戻すためには、景気対策が必要だ。 バラマキ政策、ゾンビ企業の延命ではなく、成長産業の育成に投資をするべきだ。 
 収益性の低いゾンビ産業を退場させ、収益性の高い産業を育てるために、構造改革・規制緩和も求められる。

簡単なことだ。 2025年の日本経済はどうなっているのか? 2045年の日本社会はどうなっているのか? 将来を見据えたうえでの経済対策を取ればよい。 もし、2025年の世界経済構造が想像できないのであれば、早々に政治の中心から退場したほうがよい。




 2025年の日本経済を語り、そのための経済成長政策を取って、その通りに国民生活が豊かになる・国民が将来に夢を持てるようになる。 そうなれば、政権への支持率も安定するだろう。

口先で「経済最優先」と語りながら、景気後退局面に直面しても、安全保障政策ばかりに注力している状態では、国民からの信頼を失うばかりだ。

法的安定性の問題

2015年09月05日 19時23分47秒 | Weblog
まず、大きな問題として上げられるのが、現状の「衆議院」自体の違憲性だ。

選挙区ごとの「一票の格差」で、裁判所から「違憲状態」と警告されていたにもかかわらず、選挙区割りを改正することなく、解散総選挙を行った。 前回の衆議院選挙には、政治的な緊急性が全くなかった。 裁判所からの警告を無視したわけで、現状の衆議院が合憲なのか? 最高裁判所の判断を待つ必要がある。



そして、安保理関連法案には致命的な問題がある。 何と言っても、法律の目的が分からないし、意味が分からない。 多数の複雑な要件を混ぜ合わせたため、キメラ化して、目的が不明確な不可解な法律になった。 憲法が軍事力保持を禁止していて、文民統制の原則もあるが、これだけ意味不明な法律が通れば、拘束が効かなくなる。 
 法律文の内容が判読不明であれば、「法的安定性」は存在できない。
 法律自体が意味不明であれば、それを安定させられるわけがない。 法的安定性は関係ない、ってのが、賛成者側の本心だろう。 解釈が安定した法律を目指すのであれば、あんな法文にはならない。


安保理法制には、様々な思惑・目的が複雑に絡み合っている。
政府の思惑
自民党の思惑
公明党の思惑
外務省の思惑
自衛隊の思惑
米軍の思惑
米議会の思惑

法律自体は意味不明だ。どれだけ眺めても意味不明だ。
しかし、上記の思惑を個別に分析して行けば、「なぜ意味不明になってしまったのか?」は理解できると思う。

「和をもって貴しとなす」が、日本人の美徳の場合もある。しかし、政治が「妥協」に流れてしまってはいけない。 特に、太平洋戦争では、政治的妥協の産物として、日本は破滅した。

その大戦敗北から学び生まれたのが、平和憲法だ。
今年、政治的妥協の産物が、平和憲法の理念を犯すのであれば、いつか来た道をたどりなおすことになる。



最高裁判所の警告を無視して衆議院を解散して、違憲状態のまま総選挙を行った。
そこで選ばれた国会議員が、憲法の理念に反するかのような法律を成立させようとしている。

「憲法の番人」としての最高裁判所は、求められた際に、今回の法律に対してどのような判断を下すのだろうか?



参議院に関しては、最高裁判所から違憲状態だと警告を受けた後、牛歩のごとく選挙制度改革を進めている。 その努力を認めてもらえるのか? 一票の格差が解消しない状態では、参議院議員も合憲だと判断されない可能性がある。