21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

ソフトパワーを考える

2015年09月06日 22時25分18秒 | Weblog
 現在の安全保障政策では、ソフトパワーがないがしろにされ過ぎている。

国際問題の解決手段としては、軍事力を中心とした「ハードパワー」と信頼性を中心とした「ソフトパワー」に分けることができる。

理想論としては、国家が十分に国際的信頼を受けていれば軍事力がなくとも国際紛争は解決される。それがソフトパワーだ。 現実には、多文化・異習慣の国際社会で、そこまでの信頼を得ることは不可能に近い。

しかし、ソフトパワーがなければ、軍事力(ハードパワー)は意味をなさない。

 アメリカは、圧倒的な軍事力でイラク政府を消滅させた。しかし、アメリカ軍は中東で信頼されていないため(ソフトパワーがないため)、軍事力ではイラクを平和・安定させることができなかった。 イラク政府に代わり、イスラム武装勢力が地域的な勢力を伸ばしている。
 ハードパワーでイラク政府を消滅させたアメリカは、イラク以上に厄介な敵を作ることになった。 国家戦略的には、前進よりも、後退のように思える。
 アメリカ軍は、「救世主」でなはく「破壊者」として中東から評価されている。 アメリカ軍の中東での活動は、国益にも国際平和にも役立たなくなっている。


 日本の安全保障政策でも、ソフトパワーがないがしろにされているように思う。
自衛隊の海外派遣を検討する一方、国際紛争の被害者・難民に対して、あまりにも冷酷だ。
難民を助け、紛争の火種を抑えてこそ「救世主」として信頼される。 破壊行為、破壊行為の補助をしていたのでは、信頼を失うばかりだ。

 中東の紛争から多くの難民が生まれ、トルコ・欧州に流れ込んでいる。安全保障の議論では、「将来現れるかもしれない敵」を「破壊」することばかりが中心になっている。しかし、「今ここにいる難民」を助けることの方が重要なのではないか?

 「平和のための法律を作りたい」のであれば、将来の武力行使の議論を止めて、今できる人道支援をするべきだ。 日本国家が「救世主」としてのソフトパワーを得ることができれば、大きな国益につながる。


 先の3年間で、東南アジアからの難民を100万人、中東からの難民を100万人、アフリカからの難民を100万人受け入れるべきだ。 自衛隊は既に世界第3位の国防予算を持っており、軍事力(ハードパワー)をこれ以上強化するのは、費用対効果的に難しい。 同じ予算を難民救済に向ければ、ソフトパワーを強化して、国際社会での地位を確立することができる。



*補足として、
「難民」と「移民」は完全に別の存在だ。一般的に注目されている「移民問題」は、「難民」とは全く関係ない。 この二つは、完全に別の議題として明確に区別されなければならない。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。