21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

女性労働力の活用

2012年10月28日 23時02分45秒 | Weblog
長時間労働を是正して、女性の労働力を活用すれば、日本経済は成長する。らしい。

つまりは、

一人が、毎日12時間働いているところを、2人で6時間ずつ働くようにする。ってこと。

労働時間が減れば、男性も家事をしやすくなるし、女性も家庭と仕事の両立をしやすくなる。なにより、自由な時間が増えることで、創造的な仕事ができるようになる。


机上の空論であり、現実には難しい。

この空論は、大きな勘違いに基づいている。

企業が12時間の労働に対して、12時間分の賃金を支払っているのであれば、仕事を6時間x2人にしてもコストは増えない。はずであるが。

現実には、ほとんどの企業は8時間分しか賃金を支払っておらず、残りの4時間がサービス残業の場合が多い。円高の影響もあり、中小の製造業にとって、残業代を満額支払うのは難しい。

8時間分しか賃金を支払っていなかった企業が、12時間(6時間x2人)の給料を負担するようになれば、コストは1.5倍になる。とてもじゃないが、ほとんどの中小企業は50%のコスト増を吸収できない。


つまり、現状の円高環境下では、ワークシェアリングの実現、長時間労働の是正は不可能であり、女性労働力の活用も難しい。



資金的には、大企業であれば対応できるかもしれないが、中小企業には難しい。
制度的には、中小企業なら簡単に変化できるかもしれないが、大企業が変化するには時間がかかる。



今のところでできることと言えば、円高で利益を得ている企業、輸入系企業を中心に長時間労働の是正、割増残業代の全額負担を徹底させて、ワークシェアリングを促すべきだ。

労働基準法を厳格に運営すれば、一人を12時間働かせるよりも、2人に6時間ずつ働いてもらった方が、企業にとって負担が少ないはずだ。「労働者」を保護するべきはずの監督省庁が、「労働場所=企業」を守ろうとしてきたところに問題がある。


失業者とタンス預金

2012年10月28日 22時53分40秒 | Weblog
経済学的にみると、失業者とタンス貯金は同じ。

使われていない資金 =タンス預金
使われていない労働力 =失業者

そして、どちらも新規の事業立ち上げに必要なものである。


失業者がいなければ、新しい産業は成長に必要な労働力を得られないことになる。
そして金がなければ、事業は立ち上げられない。

逆に使われていない資金が増えている場合、働いていない人が増えている場合、「成長余力はあるのに有効活用されていない」ということができる。



社会・経済の活性化のためには、資金・労働力が、「古い産業」から「新しい産業」へ滞りなく移動できるようなシステムが必要である。

貨幣供給量とインフレ

2012年10月27日 20時34分52秒 | Weblog
中学生の社会科の教科書にも載っていたと思う。

物価は、モノ・サービスの需要と供給の関係で変動する。
そして、需要に対して供給が不足している際に、インフレが起きる。
インフレは、モノ・サービスの需給に関係する話。



つまり、貨幣の供給量、貨幣の市場流通量は、インフレとは関係がない。
資金供給量を増やすとインフレの下地を作ると心配されているが、資金供給量・貨幣供給量とインフレには直接の関係はない。

「貨幣」を「モノ・サービス」と同じようにとらえ、「供給量が増えると価格が下落する」と誤解している人がいる。ありえない。
貨幣の供給量が増えても、貨幣の価値は下落しない。


敗戦後の日本にしても、敗戦後のドイツにしても、インフレの原因は物資の不足である。国民の需要を満たすだけの食糧・製品がなかったためにインフレが起きた。モノ・サービスの需給関係が崩れたことはインフレの理由である。当時の貨幣流通量はインフレとの関係がない。

ジンバブエのインフレにしろ、アルゼンチンでのインフレにしろ、ロシアでのインフレにしろ、原因はモノ・サービスの需給関係の崩れである。つまり、製造能力不足・供給能力不足がインフレの理由である。



誤解を解くために繰りかえす。

市場での資金・貨幣流通量はインフレの原因とならない。常識である。中学校の教科書に出さえ、「物価はモノ・サービスの需給関係で決まる」と書いてある。貨幣の流通量はインフレの原因とならない。






一方、資金・貨幣の市場流通量が不足した場合、デフレの原因となる。国内のデフレの原因は、貨幣の市場流通量が少ないことである。家電製品の価格下落スピードが早いのは、技術革新ではなく、資金流通量が少ないためである。



硬貨(金貨・銀貨・銅貨)が、貨幣の中心だった時代、貨幣の市場流通量は貴金属の産出量に依存した。そのため、たびたび経済規模に対して貨幣流通量が不足して、中世・近代の世界ではデフレが起きた。


現代は、金本位制を廃止して貨幣の流通量は貴金属の産出量と切り離された。そして、電子マネーの登場で、貨幣の市場流通量は、印刷機の能力からも切り離されたはずである。 それにもかかわらず、日本ではデフレが起きている。つまり、社会が必要とするだけの貨幣・資金が市場に供給されていない、と言うことである。



なぜ金融政策担当者は、失われた20年が過ぎても対応を取ろうとしないのか? 20年間に何度も政策担当者は変わったにもかかわらず、である。 不思議である。


世代間意識格差

2012年10月25日 23時02分19秒 | Weblog
高度経済成長期の後、バブル崩壊を経て、失われた20年を過ぎ、経済は「失われた30年」の入り口に入っている。


40代、50代にとって先輩とは「高度経済成長期の立役者」かもしれない、

しかし、
20代、30代にとって先輩とは「失われた20年の産物」である。

それが、世代間意識格差。簡単には超えられない壁がある。

求められる戦犯追放

2012年10月25日 22時45分25秒 | Weblog
二十年前のバブル崩壊は、第二の敗戦と例えられる。
十年前の金融危機も、第二の敗戦と例えられる。
昨年の東日本大震災も、第二の敗戦と例えられる。

では、戦後に高度成長期を謳歌した日本が、失われた20年をすごし、失われた30年に陥ろうとしているのは何故か?

なぜ、上記の「第二の敗戦」は、日本を成長路線に引き戻せなかったのか?

太平洋戦争の戦後にあったにもかかわらず、上記の歴史の節目には起きなかったことの一つが、「戦犯追放」だ。

戦犯追放のおかげで、戦後は新しい風が日本を高度成長へと導いた。

第二の敗戦の戦犯は誰か? 責任は取ったのか? 社会に新しい風を吹き込む対応が求められる。