21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

普天間 基地論

2010年05月09日 22時04分04秒 | Weblog
「普天間基地の問題」と「在日米軍基地問題・日米安全保障条約」は分けて考えないといけない。

 そこが分けられていないために、民主党政権は混乱に陥っている。


「普天間基地の問題」ってのは、基地が市街地に近すぎて米軍の訓練が市民生活に危険性を与えていることだ。これは今すぐに解決しないといけない。
基地を普天間から早急に移動させる必要がある。移動先は、辺野古だろうが、どこでも良い。


「在日米軍基地問題・日米安全保障条約」は、「不安定な弧」と呼ばれる日本列島で紛争が起こらないように、いかに平和を守っていくか。という問題だ。短期的に解決できる問題ではない。
 日本国土内にある問題は、在日米軍基地だけかもしれないが、北にはロシア極東自治区、西には朝鮮半島、南には中国・台湾と紛争が起きれば日本に飛び火しそうな問題ばかりがある。「米軍ナシで日本の平和を守るのは難しい」と考えたほうが現実的だろう。




普天間基地移設に伴う鳩山さんの政治的混乱を終息させるためには、この二つの問題を明確に分けて対応しなければならない。

「普天間基地の問題」については、移設先はどこでも良いから、強権を発動させて、早急に候補地を決めてしまうべきだ。

「在日米軍基地問題」については、日米安全保障担当大臣みたいなのを任命して、慎重に長期的に対応する必要がある。


この二つの問題は明確に分けて議論する必要がある。

消費税率の段階的引き上げ論

2010年05月02日 00時09分01秒 | Weblog
世界で初めて「消費税率の段階的引き上げ」が論台に出てきたのは2002年だ。
(http://www.iser.osaka-u.ac.jp/library/dp/2004/DP0623.pdf)

その後、2006年にこのブログに登場している。
(http://blog.goo.ne.jp/fu-chine/e/cd37079e3144002b92a75f2a1a48053b)


2006年当時、「消費税を引き上げると、引上げ前に買いだめが起き、引上げ後に消費の低迷が起きる」と言うのが一般的な考えだった。
その中で「毎年数%ずつ引き上げることで、消費の低迷を防げるのではないか」との発想は面白かった。


しかし、自民党が政権公約に「消費税率の段階的引き上げ」を入れるとなると別問題だ。そして、有名大学の教授が当然の取り得るべき政策として「消費税率の段階的引き上げ」を、日本経済新聞で紹介しているのには考えさせられるものがある。


1989年の消費税導入の時と、1997年の税率の引き上げの時、それぞれで「直前の耐久消費財の買いだめ」と「その後の個人消費の冷え込み」が起きたのは歴史的事実だ。

しかし、「消費税率の引上げを段階的に行えば、消費の冷え込みは起こらない」と言うのは、個人的な推測にすぎない。歴史的な検証は全くない。ただでさえ景気が冷え込んでいる現状で消費税を引き上げると1997年の失敗を繰り返す可能性がある。回復しかけている個人消費が一段と冷え込む可能性がある。



また、一部で紹介されている「消費税率を段階的に引き上げることで、消費者の期待インフレ率を引上げ、購買意欲が回復する」との考えも推論だ。検証はされていない。大体、「期待インフレ率」を計測する手段さえない日本国内で、税率の変化が期待インフレ率に与える影響を調べることはできない。
「expected inflation rate」とでも言うのか、正確な定義が存在しない言葉を使う議論を現実の政策に反映するのは考え物だ。
机上であれば空論を考えても良いが、空論を現実の政策に利用されると困る。


「消費税率の段階的引き上げ論」が表に出てきてから4年。議論の水準は、未だに政策に応用できるレベルではないのではないか。
(Incremental Increase of Sale Tax/ GST)

キューバ危機

2010年05月01日 22時53分25秒 | Weblog
 アメリカのヒーロー物の小説や映画で紹介される「キューバ危機」は、第三次世界大戦を起こそうとするソビエト連邦を、勇敢なケネディ大統領が外交的手段で平和的に屈服させる。って話に仕上がっている。

 現実には、支持率上昇を狙ったケネディ大統領が、意図的に演出した危機だったと、私は思っている。

ウィキペディアの「キューバ危機」の項目は、この中間のような見方が出ている。


よく見る世界地図だと、アメリカとソ連は離れているように見えるが、北極点を中心にした世界地図で見ると、アメリカとソ連は隣り合っている国だということが分かる。キューバはアメリカの裏庭にあって、トルコはソ連の裏庭にある。

危機の発端は、アメリカがトルコにミサイル基地を建設したこと。また、キューバに親米政権を作ろうとして、内政に過剰に干渉したことに始まる。
それに危機感を抱いたソ連側がキューバにミサイル基地を建設し、核兵器を配備した。

映画や小説では、ケネディ大統領が「核兵器の配備を阻止した」かのように描かれることが多いが、現実にはキューバへの核兵器配備はすでに終わっていた。


大統領選後、支持率の上昇を目指していたケネディ大統領が、キューバに向かっているソ連のミサイル資材を積んだ船を見つけ、マスコミに公表したことで、「キューバ危機」となったわけだ。


「13日間」って映画の中では、ケネディ大統領が果敢に外交交渉を進めた結果、「平和的に危機を回避した」的なストーリーになっているけど。
現実には、ソ連のフルシチョフ総書記が世界平和のために自身のキャリアを犠牲にしたことが大きい、と考えられる。アメリカ相手に外交交渉で譲歩したら、権力の座からは引きずり下ろされる。それにもかかわらず、自分自身の保身は考えずに、平和のために動いた行動力がスバラシイ。

ケネディ大統領側は、選挙戦で負けることを恐れて、譲歩をしなかった。
その点は、ブッシュ大統領と同じだ。対テロ戦争で、アメリカの国力が浪費されることよりも、支持率が落ちることが懸念材料になる。



話が横にそれるが、リーマンショックに代表される金融危機も同じ性格から引き起こされている。
1.金融商品を他の人が買わないときは、バブルにならないから、買った人が得をする。買わなかった人は損をする。
2.金融表品を他の人も買い始めたら、バブルになるから、みんなが損をする。
と言うゲームの中で、「自分だけ損はしたくない」と全員が考えることで、②の状況が起きて、金融危機が起きたわけだ。


現状の社会でキューバ危機が起きれば、両国の政治家が国民からの支持を失わないために、第三次世界大戦に突入することを選ぶだろう。

「合成の誤謬」が起きるとき、民主主義という制度は戦争と大量虐殺を引き起こす。