21世紀航海図;歴史は何も教えてくれない。ただ学ばない者を罰するだけ。

個人の時代だからこそ、個人を活かす「組織」が栄え、個人を伸ばす「組織」が潤う。人を活かす「組織」の時代。

経済対策最優先、だったはずが・・・。

2015年09月05日 20時23分39秒 | Weblog
選挙前は、景気対策最優先 だった気がする。

政権の第一優先は景気・経済対策で、そのために消費税増税のタイミングが選挙戦の争点になった、はずだった気がする・・・。

選挙から半年もたたないうちに、経済対策を捨てて、軍事政策に走り始めた。 なぜ?
5月、6月、7月と景気が浮揚する雰囲気があった時期であれば、「経済対策も同時進行で進めている」と口先で言って、経済政策の不備を覆い隠せた。 が、8月になって景気が躓くと、隠せなくなった。

安倍政権の流動的な支持者は、経済対策を期待している。 安全保障政策なんて、どうでもいい。
景気が回復する流れがあれば支持をするし、流れが途切れれば不支持に回る。 経済対策以外の政策は、政権支持率とは無関係だ。


TPP交渉は、完全に停滞している。
しかも、店頭で「バター不足」が問題になっている中、バターの輸入枠拡大の問題で合意できなかった(と、言っている)。本当の原因は分からない。ただ、バターを探している消費者・国民心情からして、完全に意味不明な言い訳だ。
バターが不足しているにもかかわらず、なぜ輸入量を増やせないのか?


株価の暴落が止まらない。
 株価は、短期的に乱高下する傾向にある。政府は長期的な視点に立って景気対策を取るべきであり、短期の株価の動きを気にするべきではない。
 しかし、株価が暴落しているタイミングでテレビに生出演した総理大臣が、景気対策には全く触れない点は、理解に苦しむ。 特に、経済対策を最優先に進める、と宣言をしていたにもかかわらず、経済の状態を示す株価暴落に全く興味を示さないのでは、国民の理解を得られないのではないか。繰り返すが、「株価対策」の必要はない。
 しかし、「経済政策」と「安全保障政策」のどちらの優先順位が高いと考えているのか? 分からない。明確な発言がない。 国民の間で、疑心暗鬼が膨らむばかりだ。 口先では「経済政策」でも、目に見える行動では「安全保障政策」ばかりを進めている。 「信用できない」と考える国民が増えて当然だろう。


GDPの成長率がマイナスだった。
 中国の景気減速が問題視されているが、それでも中国の経済成長率は7%前後だ。 少なく見積もっている評論家でも3%以上の経済成長率があるとみている。
 一方、日本の経済成長率は「マイナス」だ。 中国の経済状態を心配する声が、政治家から出ているが、理解に苦しむ。 マイナス成長だった日本政府が何もせずに、好成長を続けている中国経済に注文を付ける。 テストで赤点を取った生徒が、70点を取った生徒に注意しているようなものだ。「人のふり見て、我がふり直せ」 まず重要なのは、中国に景気対策を求めるのではなく、マイナスだった日本が景気対策をすることだ。
 他国の経済政策に注文を付ける一方、自国内では経済対策を取ることもなく、安全保障政策に注力している。 近代戦では、経済力=軍事力だ。 その点を理解することなく、経済対策をおろそかにして、安全保障政策を議論しているのでは、本末転倒だ。


デフレを止められない
 2015年4月までにインフレ率を2%前後にすると宣言したのは、「公約」ではなかったのか?
達成されることもなく、近い将来に達成できそうな見込みもない。 その上に、追加の対策(追加の金融緩和策)などもない。 諦めたように見えるが、明確な宣言もなく、説明もない。
 安全保障政策の議論よりも、優先するべき問題が山積しているのではないか?


日本経済には景気対策が必要だ。
 デフレを止め、経済を成長路線に戻すためには、景気対策が必要だ。 バラマキ政策、ゾンビ企業の延命ではなく、成長産業の育成に投資をするべきだ。 
 収益性の低いゾンビ産業を退場させ、収益性の高い産業を育てるために、構造改革・規制緩和も求められる。

簡単なことだ。 2025年の日本経済はどうなっているのか? 2045年の日本社会はどうなっているのか? 将来を見据えたうえでの経済対策を取ればよい。 もし、2025年の世界経済構造が想像できないのであれば、早々に政治の中心から退場したほうがよい。




 2025年の日本経済を語り、そのための経済成長政策を取って、その通りに国民生活が豊かになる・国民が将来に夢を持てるようになる。 そうなれば、政権への支持率も安定するだろう。

口先で「経済最優先」と語りながら、景気後退局面に直面しても、安全保障政策ばかりに注力している状態では、国民からの信頼を失うばかりだ。

法的安定性の問題

2015年09月05日 19時23分47秒 | Weblog
まず、大きな問題として上げられるのが、現状の「衆議院」自体の違憲性だ。

選挙区ごとの「一票の格差」で、裁判所から「違憲状態」と警告されていたにもかかわらず、選挙区割りを改正することなく、解散総選挙を行った。 前回の衆議院選挙には、政治的な緊急性が全くなかった。 裁判所からの警告を無視したわけで、現状の衆議院が合憲なのか? 最高裁判所の判断を待つ必要がある。



そして、安保理関連法案には致命的な問題がある。 何と言っても、法律の目的が分からないし、意味が分からない。 多数の複雑な要件を混ぜ合わせたため、キメラ化して、目的が不明確な不可解な法律になった。 憲法が軍事力保持を禁止していて、文民統制の原則もあるが、これだけ意味不明な法律が通れば、拘束が効かなくなる。 
 法律文の内容が判読不明であれば、「法的安定性」は存在できない。
 法律自体が意味不明であれば、それを安定させられるわけがない。 法的安定性は関係ない、ってのが、賛成者側の本心だろう。 解釈が安定した法律を目指すのであれば、あんな法文にはならない。


安保理法制には、様々な思惑・目的が複雑に絡み合っている。
政府の思惑
自民党の思惑
公明党の思惑
外務省の思惑
自衛隊の思惑
米軍の思惑
米議会の思惑

法律自体は意味不明だ。どれだけ眺めても意味不明だ。
しかし、上記の思惑を個別に分析して行けば、「なぜ意味不明になってしまったのか?」は理解できると思う。

「和をもって貴しとなす」が、日本人の美徳の場合もある。しかし、政治が「妥協」に流れてしまってはいけない。 特に、太平洋戦争では、政治的妥協の産物として、日本は破滅した。

その大戦敗北から学び生まれたのが、平和憲法だ。
今年、政治的妥協の産物が、平和憲法の理念を犯すのであれば、いつか来た道をたどりなおすことになる。



最高裁判所の警告を無視して衆議院を解散して、違憲状態のまま総選挙を行った。
そこで選ばれた国会議員が、憲法の理念に反するかのような法律を成立させようとしている。

「憲法の番人」としての最高裁判所は、求められた際に、今回の法律に対してどのような判断を下すのだろうか?



参議院に関しては、最高裁判所から違憲状態だと警告を受けた後、牛歩のごとく選挙制度改革を進めている。 その努力を認めてもらえるのか? 一票の格差が解消しない状態では、参議院議員も合憲だと判断されない可能性がある。