道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

アンドレアス・グルスキー展(国立新美術館)

2013年07月14日 | 美術道楽
国立新美術館で開催中のアンドレアス・グルスキー展に行って参りました。グルスキーは現代ドイツを代表する写真家ということです。以前にも,2005/2006年のドイツ年のときの「ドイツ写真の現在」展(東京国立近代美術館),同じくドイツ年のときの「舞い降りた桜 ザハ・ハディドとめぐるドイツ銀行コレクション」(原美術館・品川),それと2008年の「アートは心のためにある」UBSコレクション展(森美術館)でも,グルスキーの作品は展示されていたようですが,日本で個展としての開催は初めてのことなのだそうです。

絵画のような写真であり,グルスキー自身も筆のかわりにカメラで作品を作成するという趣旨のことを言っているようです。ゲルハルト・リヒターのフォト・ペインティングとは正反対の手法のようです。

写真といっても多くは,たくさんの写真の合成写真です。パリ・モンパルナスのアパルトマンの部屋など同じような被写体をたくさん撮影して,それを一枚の写真に合成しているものもあります。またその中には,ボンにあった連邦議会の写真など,昼と夜の異なる時間で撮影された複数の写真の合成もあります。

また,同じテーマの写真の連作もあります。
・きれいな白の線が一直線入っているようで,実際には汚染された河に浮かぶ油の写真(白黒逆転させた墨絵のようです。)【バンコクという作品シリーズ】
・プラダのショーケースの写真【プラダという作品シリーズ】
・北朝鮮のマスゲーム大会のおびただしい人物の写真【ピョンヤンという作品シリーズ】
・世界の証券取引所シリーズ
などは,同じテーマで連作がありました。
これらの写真は,同じテーマで同じ箇所に集められているのではなく,バラバラにされ,違うテーマの写真と一緒くたにされています。そして,一度見たテーマの写真と同じテーマの写真を,別の展示コーナーで再発見することもあります。とても展示方法にこだわっています。この展示方法はグルスキー自身の指定によるのだそうです。

このほかにも,フランクフルト国際空港の出国ロビーの電光掲示板の写真(24時間分の合成写真)や商品棚に○○ユーロ99セントという価格の表示された商品群の写真など印象に残りました。後者の99セントという作品は,同じ物か同種のものを確かに日本で見た記憶があります。冒頭の写真の「カミオカンデ」も印象に残ります(この写真と同様で,展示物よりもずっと小さな物が出口でが撮影許可となっていました。冒頭の写真はこれを撮影したものです。)。
一番驚いたのはジャクソン・ポロックの絵を撮影したものが,「無題」というタイトルだけで何の説明も表示もなく展示されていたことでした。

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