出光美術館で開催中の「物語絵―〈ことば〉と〈かたち〉」と題する展覧会に行きました。
まずは企画の趣旨から
(引用はじめ)物語絵とは、仏教説話や古典文学から象徴的な場面を抜き出して、それを絵にあらわしたものです。たとえば、『源氏物語』や『伊勢物語』といった王朝文学の傑作がその成立以来ただちに絵画化され、日本美術の歴史に豊かな実りをもたらしてきたように、物語絵に描かれた情景―〈かたち〉には、かならず原典―〈ことば〉があります。
ただし、この2つはいつも〈ことば〉から〈かたち〉へ、という一方向の関係を結ぶわけではなく、互いに響きあい、時には絵画のほうが物語世界に新しい生命を吹き込むこともあったでしょう。絵にあらわされた物語の〈かたち〉のひとつひとつは、物語の作者が書き記したことの受け手ともいうべき画家たちによる、解釈の結果だからです。物語絵は、物語の〈ことば〉を目で追い、耳で聞くことでは到底語りつくされない、物語に広がる無限のイメージに対して、具体的な輪郭線が与えられたものだといえます。
この展覧会では、個々の物語絵を主題ごとのまとまりで見ていくのではなく、むしろ作品に固有の枠組みを取り払った結果、見えてくる〈かたち〉を分類し、6つのテーマを設定しました。いずれのテーマも物語とその絵画が、人間のさまざまな感情の動きを映し出す鏡にほかならないことを伝えるものです。それらを紡ぎだす〈かたち〉と〈ことば〉が密接に、ときに劇的に関わりあうところに、物語絵の新鮮な魅力を感じていただければ幸いです。(引用終わり)
ということです。
恋愛ものでは当然のことながら源氏物語、失恋・隠遁関連では、伊勢物語や西行物語、そして軍記物では源平の合戦に関する作品が展示されていました。作品は、江戸時代に作られたものが多く、それほど著名な作品という訳でもなかったようですし、個々の作品の出来映えそれ自体で深く感銘するというようなものでもありませんでしたが、十分に楽しむことができました。
見所は、俵屋宗達の伊勢物語と西行物語、住吉具慶・烏丸光雄の宇治拾遺物語絵巻、伝 尾形光琳の伊勢物語絵巻でしょうか。
それと並んで岩佐勝友の源氏物語図屏風も印象に残りました。こちらは女性を抱き寄せる光源氏や雷に追われて逃げる光源氏など、人物描写がとても写実的に描かれています。岩佐勝友は、岩佐又兵衛の親類とか。そして岩佐又兵衛は、荒木村重の子です。昨年の大河ドラマですっかり有名になりました。
まずは企画の趣旨から
(引用はじめ)物語絵とは、仏教説話や古典文学から象徴的な場面を抜き出して、それを絵にあらわしたものです。たとえば、『源氏物語』や『伊勢物語』といった王朝文学の傑作がその成立以来ただちに絵画化され、日本美術の歴史に豊かな実りをもたらしてきたように、物語絵に描かれた情景―〈かたち〉には、かならず原典―〈ことば〉があります。
ただし、この2つはいつも〈ことば〉から〈かたち〉へ、という一方向の関係を結ぶわけではなく、互いに響きあい、時には絵画のほうが物語世界に新しい生命を吹き込むこともあったでしょう。絵にあらわされた物語の〈かたち〉のひとつひとつは、物語の作者が書き記したことの受け手ともいうべき画家たちによる、解釈の結果だからです。物語絵は、物語の〈ことば〉を目で追い、耳で聞くことでは到底語りつくされない、物語に広がる無限のイメージに対して、具体的な輪郭線が与えられたものだといえます。
この展覧会では、個々の物語絵を主題ごとのまとまりで見ていくのではなく、むしろ作品に固有の枠組みを取り払った結果、見えてくる〈かたち〉を分類し、6つのテーマを設定しました。いずれのテーマも物語とその絵画が、人間のさまざまな感情の動きを映し出す鏡にほかならないことを伝えるものです。それらを紡ぎだす〈かたち〉と〈ことば〉が密接に、ときに劇的に関わりあうところに、物語絵の新鮮な魅力を感じていただければ幸いです。(引用終わり)
ということです。
恋愛ものでは当然のことながら源氏物語、失恋・隠遁関連では、伊勢物語や西行物語、そして軍記物では源平の合戦に関する作品が展示されていました。作品は、江戸時代に作られたものが多く、それほど著名な作品という訳でもなかったようですし、個々の作品の出来映えそれ自体で深く感銘するというようなものでもありませんでしたが、十分に楽しむことができました。
見所は、俵屋宗達の伊勢物語と西行物語、住吉具慶・烏丸光雄の宇治拾遺物語絵巻、伝 尾形光琳の伊勢物語絵巻でしょうか。
それと並んで岩佐勝友の源氏物語図屏風も印象に残りました。こちらは女性を抱き寄せる光源氏や雷に追われて逃げる光源氏など、人物描写がとても写実的に描かれています。岩佐勝友は、岩佐又兵衛の親類とか。そして岩佐又兵衛は、荒木村重の子です。昨年の大河ドラマですっかり有名になりました。