道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

西洋絵画の流れ-ブリューゲルからピカソまで 特別展示ジゼル・ツェラン=レトランジュ

2013年09月29日 | 美術道楽
神奈川県立近代美術館の鎌倉別館で開催中の「西洋絵画の流れ」と題する版画の展覧会に行きました。

ブリューゲルから始まり、ゴヤ、ブレイク、マックス・クリンガー、ルオー、ムンク、シャガール、オットー・ディクス、ピカソなどの神奈川県立近代美術館の所蔵する版画コレクションを見ることができます。
ブリューゲルの版画はもちろん有名ですが、それ以外のものもとても素晴らしいです。特に7月の旅行で、ライプツィヒでマックス・クリンガー(ライプツィヒ出身)の作品を、ベルリンのSammlung Sharf-Gerstenberg(シャルフ・ゲルステンベルク・コレクション)でゴヤの作品を見て間もなかったので、よい復習となりました。
そういえば、まだシャルフ・ゲルステンベルク・コレクションのこともベルクグリュン美術館のこともこのブログで紹介していませんでした。


今回の展覧会では、ジゼル・ツェラン=レトランジュの版画展も開催されていました。ジゼルは詩人パウル・ツェランの妻です。パウル・ツェランはユダヤ人で、強制収容所に収容されていた経歴を有し、戦後はナチスによるユダヤ人虐殺をモチーフにした代表作「死のフーガ」などの作品を残しています(因みに、「死のフーガ」が収録されているのが、詩集「ケシと記憶」であり、それと同じタイトルの作品を残しているのがアンゼルム・キーファーであり、その作品はベルリンのハンブルグ駅現代美術館に展示されています。)。ジゼル・ツェランの作品がまとまって公開されるのは日本では初めてということです。パウルの詩とジゼルの版画がセットになった作品(例えばSchwarzmaut(闇の通行料)やAtemkristall(息の水晶)なども展示されていました。

今回の企画展、小規模ではありますが、とても気に入りましたので、久しぶりに図録まで買いました。12月1日まで開催予定なので、もう一度行きたいところです。