道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

ボリショイ・オペラ「スペードの女王」(NHKホール・渋谷区神南)

2009年06月23日 | オペラ道楽
6月21日,大雨の日でしたが,NHKホールでボリショイ・オペラ「スペードの女王」を見ました。

NHKホールは,収容人数も多いのですが,構造が複雑で,建物も古いのが難です。

さて「スペードの女王」はプーシキンの小説をもとに,チャイコフスキーが台本,作曲を手がけたオペラです。
主要な登場人物はゲルマン,リーザ,伯爵夫人,エレツキー侯爵です。
リーザは既にエレツキー侯爵と婚約しているのですが,士官のゲルマンは身分違いのリーザに恋いこがれます。ゲルマンはリーザに求愛し,リーザもゲルマンに惹かれていきます。しかし,ゲルマンは偶然耳にした伯爵夫人の「3枚のカードの秘密」に気をとられるようになります。伯爵夫人は昔,パリの賭博場で全財産を失いますが,この「3枚のカードの秘密」を知り,財産を取り戻すことが出来たという話です。
リーザから逢い引きのため鍵をもらったゲルマンですが,リーザの部屋に入る前に伯爵夫人に「3枚のカードの秘密」を教えるようにピストルで脅して迫り,ショック死させてしまいます。
その後,伯爵夫人の亡霊はゲルマンにカードの秘密を教えます。ゲルマンはリーザが留めるのも聞かず、リーザと共に逃げるのではなく,賭博場に向かいます。リーザは絶望して運河に身投げをします。
ゲルマンは賭博場で3,7,エースの3枚のカードの秘密によって,賭博に勝ちを収めるはずでした。しかしゲルマンが最後の勝負でエレツキー侯爵と勝負した際,勝ち札のエースであったはずのカードはスペードの女王に変わり,ゲルマンは破滅的な敗北します。ゲルマンは,伯爵夫人の亡霊を見ながら,自殺します。

明るい内容のオペラではありません。また,大昔,プーシキンの小説を読んだときには,割と面白いと思った記憶があったのですが,オペラにすると,170分という時間はやや冗長すぎる感じがして,小説ほど面白みが感じられませんでした。また,「スペードの女王」では,単独で演奏されるほど有名な曲がないのも少し残念であります。
それでも,舞台を上下に分けて,上下で異なる展開をする演出(上がリーザ,下がカードの虜になったゲルマンなど)は面白かったですし,歌手は皆うまかったです。
特に21日にリーザを演じたエレーナ・ポポフスカヤのリーザは,「愛に生きるリーザ」というキャッチフレーズのとおりで,エレツキー侯爵という婚約者がいながら,ゲルマンに惑わされ,最終的にゲルマンを愛してしまうリーザを, よく表現していたと思います。

いいオペラではありましたが,後味はあまりよくなく,梅雨時の170分間の上演は少々身体にこたえました。