
(ハーレムの教会)
若い頃、吉田ルイ子の「ハーレムの熱い日々」という本を読みました。
フォト・ジャーナリストである著者がハーレムのアパートメントに何年も住み着いて
そこでの日々を写真と文章で著わした本です。
そんな日本女性もいるのかと驚くと共に、生々しい写真や、ハーレムの人々の熱い人情に打たれたものです。
最近だと印象的だったのは、映画「プレシャス」か。
ハーレムに住む主人公のアフリカ系アメリカ人の16歳の女の子は異様に太り、
いつもふてくされており、人生を投げ出しているようである。それもその筈、
彼女は読み書きができず、父親からは性的虐待を、母親からも精神的な虐待を受け続けている。
ソーシャル・ワーカーからそのことを責められた母親が
「あの男に逆らってあの男が私から離れていったら、誰が私を愛してくれるのさ?
誰が私を気持ちよくしてくれるのさ?」 と言い返した言葉が忘れられませんでしたが
これも実話を基にした話だというのだから、驚きます。
ハーレム、怖いけれど行ってみたい。
できたら、本場のゴスペルを聴きたい。
でも、日本の旅行社が主催する「ハーレムでゴスペルを聴こう!ツアー」に参加して
日本人用に観光化されたようなショウを見るのは嫌だ。
そんなワガママな我々、ネットで探して
Bethel Gospel Global Assembliesというのを見つけました。
ここのゴスペルは非常に評判がよいらしい。
日曜日の朝、地下鉄でイーストハーレム125丁目駅に降り立ったら、実に危ない雰囲気。
路上にはゴミが散乱し、アフリカ系やプエルトリコ系アメリカ人の比率が
圧倒的に高まり(というかそればっか)、
酒瓶を手にした目が虚ろな男や、一人で怒鳴りまくっている男などがウロウロ。
ハーレム、今は安全になったって聞いてたのに…
しかも我々夫婦、致命的に方向音痴だったのでした。

地図を片手に緊張しながら歩き回ったのですが、中々見つからない。
教会らしい建物に飛び込んで、そこで目指すBethelGospelAssemblyの場所を聞いてようやく到着。
そこは教会には見えない、大きな四角いビルで
その前に外国人旅行者が列を作って並んでいました。
最終的には100人以上になったか。
我々の前はイタリアから、後ろの人はスペインから来たと。
やはりネットで見つけたのだそうです。

小一時間ほど待って、観光客は2階席に通されました。
結構大きなステージがあり、階下の席は地元の信者らしき人たちでぎっしり埋まってます。
建物の中の写真は控えたので、始まる前の一枚しか御紹介できませんが
あのノリはやっぱり凄いなあ…
腹の底に響く様な歌唱力も凄いが、本当に嬉しそうに歌い、抱き合い、
賛美し合ってる姿を見ると、無信心な私ですすら、
ああやって信じて愛し合うのはいいなあと思ってしまう。
しかも観客側もノリまくって総立ちになり、狭い座席で抱き合ったり、キスし合ったり。
我々はその勢いに呑まれながら、隅っこで大人しく堪能したのでした。
ちなみに観光客も、お礼としてささやかな寄付をします。
