Zooey's Diary

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「スラムドッグ$ミリオネア」(ネタバレなし)

2009年04月23日 | 映画
今年度のアカデミー賞、作品賞を始め最多8部門受賞。
ダニー・ボイル監督、イギリス映画。

全体が、物凄いパワーに溢れた作品です。
スラム街の裸足の子ども達が走り回るシーンが冒頭にあるのですが
それが象徴するように、圧倒的な躍動感、底知れない生命感に満ちています。
実際には、非常に残酷な話でもあるのですが。
格差社会、幼児虐待、人身売買、宗教暴動など、現代インドの裏社会が
凝縮されているようでもあります。

スラム出身の無学な青年ジャマールが、何故クイズ$ミリオネアで勝ち進むことができたのか?
その理由が、彼が辿った過酷な生い立ちに沿って明かされてゆく。
クイズ$ミリオネアに出演中のシーン、ジャマールの生い立ちのシーン、警察での尋問拷問のシーン、この三つの場面が縦横無尽に交差して話は進んでいきます。
しかしこの映画のストーリーについては、ネタバレになってしまうので、これ以上は語れません。仕方ないので、作品に関する雑感などを。

監督の名前を聞いたときから、ちょっと嫌な予感はしたのです。
だってこの人は、「トレイン・スポッティング」で、「世界一汚いトイレ」の便器にユアン・マクレガーの顔を突っ込ませたのですから。
はたしてこの作品でも、始まってすぐ、トイレの恐ろしいシーンが出て来ました。
しかも、「トレイン・スポッティング」では、とにもかくにも水洗トイレであったのですが、ムンバイのスラム街のトイレが、水洗であるわけもなく、しかも今度は顔だけでなく…(泣

フランス映画「ぼくのたいせつな友だち」を観た時に、「クイズ$ミリオネア」は日本だけでなく、世界中で放送されているのだと知りました。
しかもあの音楽や効果音、「ライフライン」「オーディエンス」などのルールも全く一緒なのですね。
あの緊張感が、この作品の中でも実に効果的に使われている。
オリジナルはイギリスらしいのですが。
そしてインド版「みのもんた」の、そのしたたかなこと!

PG12だけあって、非常に残酷なシーンもありますが
運命を愛の力で変えていくジャマールのひたむきな姿に力づけられる、
おおいなる人間賛歌のドラマです。
お勧めしたい一本です。
インドの外交官ビカス・スワラップが執筆した小説を、
「フル・モンティ」のサイモン・ボーフォイが脚色したのだそうです。
原作が読んでみたくなりました。

☆4.5

公式HP
コメント (8)
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