goo blog サービス終了のお知らせ 

Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「イル・ポスティーノ」、恵比寿のクリスマス

2024年11月27日 | 映画

恵比寿ガーデンプレイスはもう30周年を迎えたのですって。
こちらのガーデンシネマで映画を観て、ウエスティンホテルのラウンジでお茶を。
今年のウエスティンのクリスマスツリーは、白を基調とした、とってもシックな装い。



映画は1994年制作の「イル・ポスティーノ」。
実在したチリの詩人パブロ・ネルーダのイタリア亡命時代を元に描かれた、村の青年と詩人との友情がテーマのヒューマンドラマ。
製作30周年とパブロ・ネルーダ生誕120周年を記念して、4Kデジタルリマスター版でリバイバル公開したのだそうです。



内気で純朴な村の青年マリオは、世界的に有名な詩人パブロに郵便物を届けるという仕事を通して、詩人との友情を育んで行く。
パブロに教えて貰った詩のお陰で村一番の美人とも結婚するが、やがてパブロが帰国する日がやって来る。



それだけの話です。
思わぬ悲しい結末に驚きましたが、これは若い時に見たら物足りなく感じたかもしれない。
が、今となると、短い物語の裏のその時代の、チリやイタリアの政治的混乱が見えて来るし、帰国後軍部に殺されたというパブロへの鎮魂歌にも思えてくる。
そして、マリオ役のマッシモ・トロイージは心臓病を抱えながら撮影に参加し、撮影終了からわずか12時間後に41歳の若さで夭逝したという事実を知ると、それだけで胸がいっぱいになります。



お茶をしてホテルを出ると日はとっぷりと暮れ、バカラツリーが燦然と輝いていました。

「イル・ポスティーノ」公式HP 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ぼくとパパ、約束の週末」自閉症の少年の旅

2024年11月21日 | 映画

自閉症の少年が「推しサッカーチーム」を見つけるために、週末毎に父親と一緒にドイツ国内のスタジアムを旅する、実話を基にした物語。
アスペルガータイプのASD(自閉症スペクトラム障害)と診断された10歳のジェイソンは、好きな宇宙物理学に打ち込む反面、生活すべてに独自のルールがあり、それが守れないとパニックを起こしてしまう。
例えば通学に使うバス停の、自分の椅子(と勝手に彼が決めた)に老婦人が座っていると癇癪を起こし、泣き叫び、リュックを投げ捨てる。
老婦人は母親に、躾がなってない、どうして叱りつけないのかと責める。
母親は辛いよねえ…



そうしたことはしょっちゅう起こる。
電車の中の食事シーン、別々にと頼んだのにパスタにトマトソースが(かすかに)くっついていると見るや、パニックを起こして皿を放り投げ、泣き叫ぶ。
これは大げさなのではないかと思いましたが、父子御本人のインタビューによると、あまりにも現実と同じで恥ずかしくなってしまうほどだったと。
親は本当に大変だ…



スタジアム巡りも、CO2をまき散らす自動車や飛行機を許せないジェイソン(スウェーデンのグレタさんを思い出した)の為に、ドイツ国内のかなりの距離を延々と電車に乗って行くことになる。
この旅はしかし、仕事が忙しくて息子の面倒を妻に任せがちだった父親ミルコに妻の苦労を分からせ、週末べったり一緒にいることで息子への理解を深めることになる。
サッカー観戦に仕事を兼ねたラトビアの旅では、散々な目に遭ってしまうのですが。
(あのラトビアのおぞましいトイレは、そりゃジェイソンには耐えられなかったことでしょう!)


(御本人の写真)

ジェイソンにとっても、好きなことをするためには多少は妥協するということを覚えるなど、この旅は大きな成長をもたらしたようです。
エンドロールに御本人たちの写真が出て来ました。
現在のジェイソンは、チューリッヒ工科大学で宇宙物理学を学んでいるとのこと。
そこまでの道のりは、特に親御さんにとってどんなに大変だったことかと、つくづく思ってしまいました。
ドイツで100万人を動員するヒットとなったという、ヒューマンドラマです。
原題は「Wochenendrebellen」、英語だと「Weekend Rebels」、週末の反逆者というような意味です。

映画公式HP 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「サウンド・オブ・フリーダム」

2024年10月11日 | 映画

子供の人身売買の実態を暴いた、恐ろしい映画です。
ホンジュラスの貧しい父子家庭の、10歳位の娘ロシオと7歳位の息子ミゲル。歌がうまく可愛い娘に都会的な女性がオーディションへの参加を勧め、父親は子どもたちをオーディション会場へと連れて行く。約束した時刻に迎えに行くと、そこはもぬけの殻だった。二人は人身売買業者によって、遠くに連れ去られていた。



そんな衝撃的な展開で、映画は始まります。
アメリカ国土安全保障省の捜査官ティム・バラード(ジム・カヴィーゼル)は、上司の許可を得て南米コロンビアに単身潜入する。そこで彼は、改心した前科者や地元警察の協力で大規模なおとり捜査を展開するが、そこに救いたい子供の姿はなかった。彼はついに仕事を辞め、危険極まりないコロンビ反政府組織の拠点まで乗り込むことにする。



ティムはなんとかミゲルとロシオを救い出しますが、二人とも散々に性加害を受けていたようです。その直接の描写はありませんが、10歳と7歳の幼い子供に、どうしてそんなことができるのか!?
ペドフィリア(小児性愛者)は世界中にいて、それらを対象とした一大ビジネスが展開され、これはもう氷山の一角に過ぎないのだと。



ティム・バラードは実在の人物であり、これは実話に基づく話なのだそうです。
最後のテロップによると、数百万人の子供が性的に搾取され、アメリカがその最大消費国であり、年間1500億ドル以上のビジネスになっているのだと。
驚くなかれ、奴隷としての生活を余儀なくされている人の数は、奴隷制度が合法だった時代と比べても過去最大なのだそうです。
この映画は制作されてから色々と妨害され、公開できたのは5年の後であったと。
それでも、こんな映画がそのアメリカで作られたことに拍手を送りたいです。

「サウンド・オブ・フリーダム」公式HP 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ある一生」

2024年09月18日 | 映画

20世紀初頭のオーストリアで私生児として生まれたアンドレアス・エッガー。
幼少の頃に母親を亡くし、親戚の農場に引き取られるが、奴隷のようにこき使われる。
養父に酷い虐待を受けて足を骨折し、片足が不自由な身となるが、逞しく成長しする。
唯一彼に優しくしてくれた老婆が亡くなると農場を出て日雇い労働者となり、やがて渓谷地帯を走るロープウェーの建設作業員になると、マリーと出会い結婚する。しかしその幸せも長くは続かなかった…



暴力、離別、貧困、自然災害、戦争と、アンドレアスを取り巻く環境はあまりにも厳しい。
山間の小さな村にも近代化やナチスの手が伸び、彼もそれに巻き込まれていく。
しかし彼は、誰を恨むこともなく、境遇を嘆くこともなく、ただ淡々と生きていく。
最愛の妻を亡くしてからは、ひたすら彼女へ手紙を書いて、彼女の墓にそれを入れる。
あまりに「我」がなさ過ぎて、正直取りつく島がないというか、じれったくもなる。
背景の雄大なアルプスの風景は、美しくもあり厳しくもあり、人生のメタファーなのか。



激動の時代の、名も無き男の波乱に満ちた生涯。
オーストリアの作家ローベルト・ゼーターラーの原作は、世界的ベストセラーになったと言います。
こんなに淡々とした物語が何故、それほどのベストセラーになったのか、読んでみたくなりました。
農場で虐待される日々、唯一アンドレアスに優しくしてくれたお婆ちゃんは、「バグダッド・カフェ」のゼーゲブレヒトだそうです。
原題は「Ein ganzes Leben」 英題は「A Whole Life」。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

奇跡のような実話「ボストン1947」

2024年09月12日 | 映画

1936年のベルリンオリンピック、マラソンの金メダリストは、朝鮮人のソン・ギジョン、銅メダルはナム・スンニョンであった。しかし当時の韓国は日本の植民地であり、彼らは日本人選手として走り、表彰台では君が代が演奏された。
それから10年後、日本の敗戦で韓国は解放されたが、国は貧しく希望もない。
アメリカのボストンマラソンに韓国からも選手を出そうとソンやナムは切望し、ソ・ユンボクを始めとする若手選手を必死に訓練する。しかしアメリカの保証人、多額の保証金、そして渡米費用も必要と、事態は難航する。
ボストンマラソンの出征式で、どうにもお金が捻出できないと無念の思いを告げると、多くの市民が貧しい中から寄付をしてくれ、募金が集まったのだった。
必死の思いで渡米すると、米国統治下の韓国の彼らに支給されたのは、星条旗のついたユニフォームだった。太極旗を胸につけて走りたいと、ソンはマラソン関係者の前で一世一代のスピーチをする。



日本が極悪宗主国として描かれ、観て辛いものはありますが、事実であれば仕方がない。
祖国というものを普段、突き詰めて考えたこともないのですが、それでもオリンピックでは日本選手の活躍に見入ってしまうし、日の丸が揚がれば感動する。
他国の旗を胸につけられたら、それは口惜しいことでしょう。
その口惜しさをバネに、ボストンの美しい街並みをトップに躍り出て走るソ選手。
カメラワークも巧みで、まるで無名であった韓国の小さな選手が、欧米の優勝候補者たちを次々と抜いて走る姿には、胸を熱くせずにはいられません。



監督は「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ。
この実話は、韓国の40代以上の人なら殆どが知っているが、若い世代は知らない人が多いと監督は言う。それを広く知らしめたいという思いがあったようです。
失意のうちにマラソンを引退して酒に入り浸っていたソン、貧しく御飯もろくに食べられない若いソ選手のエピソードも絡めて、笑いあり涙ありの感動的なエンタメに仕上げています。
にしても、あれだけ活躍した韓国のマラソン、今はどうなってしまったのか…?
英語タイトルは「Road to Boston」。

「ボストン1947」公式HP 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ぼくの家族と祖国の戦争」

2024年09月05日 | 映画

第2次世界大戦末期、ドイツの占領下にあったデンマーク。
小さな市民大学の学長であるヤコブの元に、500人余のドイツ人難民が送り込まれる。しかしドイツは、水や食料や医療の面倒は見ない。体育館に押し込まれた難民たちはたちまち窮状に陥り、伝染病が蔓延し、子供たちは次々に死んでいく。
ヤコブが見るに見かねて難民たちに食料や薬を提供すると、ドイツへの恨み骨髄の地元の人たちから、顔に唾を吐かれ、家に石を投げ込まれ、火をつけられる。
ヤコブの息子のセアンは学校でいじめられ、木に縛り付けられ、パンツを下ろされる。
そうしたことが、息子セアンの目線で描かれていきます。



そしてドイツは降伏する。
それまで威張っていたドイツ軍はほうほうの体で撤退し、それまでドイツ軍に協力していたデンマーク人はリンチに遭う。
敵兵に体を売った女が丸坊主、裸にされて辱められるのは、お決まりの話。
ヤコブもレジスタンスの連中に捕まり、酷い暴力を受ける。
自分の良心に従ったヤコブ一家は、結局家も仕事もすべて失い、村を追い出されるのです。
小さな救いがあってホッとしますが…



大戦末期に、ドイツから20万人以上の難民がドイツに押し寄せたという事実に基づいた映画です。
戦争というものは、人の良心や常識や判断力というものを根こそぎ奪うのだと、つくづく思います。
敵国人であっても目の前で死にかけている人を放置するのか、救うのか?
そしてこんなことが、今もガザやウクライナで起きているのだと思うと、暗澹とするばかりです。



デンマーク映画、原題は「Befrielsen」英題は「Before it ends」。

公式HP 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ボレロ 永遠の旋律」

2024年08月22日 | 映画

1928年、パリ。作曲家モーリス・ラベルは、著名なダンサーのイダ・ルビンシュタインからバレエの音楽を依頼されるが、スランプに苦しんでいた。試行錯誤の日々を経てついに傑作「ボレロ」を完成させるが、自身のすべてを注ぎ込んで作り上げたこの曲に、彼の人生は侵食されていく…



不朽の名曲「ボレロ」の誕生秘話を描いた音楽映画ということですが、非常に不親切な作品です。
登場人物の立ち位置の説明はまるでなし、突然戦争に従軍したり、母を亡くしたり、時系列もぐっちゃぐちゃ。
晩年、脳に病気を抱えて記憶障害などを起こしたラベルは手術を受けるのですが、術後頭に包帯を巻いたまま、眠ったままで目を覚ますことはない。
最後に、指揮者を囲んでオーケストラが何層もの円を作り、あの「ボレロ」が情感たっぷりに演奏されて、幕は閉じます。



観終わってから調べたら、ラベルの脳の疾患は今も明確にはされておらず(若年性認知症だったのではという説もあるらしい)、脳手術を受けて62歳で亡くなったのだそうです。
彼が5回も落ちたローマ賞というのは、芸術を専攻する学生に対してフランス国家が授与した奨学金付留学制度であり、著名な芸術家を輩出しているらしい。



分かりにくくてイライラもしましたが、同じ旋律を17回繰り返したあの「ボレロ」を産み出すのにいかにラベルが苦心をしたか、そしてあの曲が世に出た時にいかに斬新で喝采を浴びたのかがよくわかりました。
冒頭の、ジャズ風、ラテン風、ロック風、ボサノバ風など、世界中で様々な楽器を使って「ボレロ」が演奏されるシーンが好きでした。
いつまでもいつまでも聴いていたい気になりました。

「ボレロ」公式HP 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

2024年08月09日 | 映画

米ソ間の宇宙競争が激化した1960年代。アポロ計画は失敗が続き、NASAに対して国民の関心は薄れつつあった。ニクソン大統領の側近モー(ウッディ・ハレルソン)は、PRマーケティングのプロ、ケリー(スカーレット・ヨハンソン)をNASAに送り込み、「月面着陸のフェイク映像を撮影する」という極秘計画を遂行させようとする。実直なアポロ11号の発射責任者コール(チャニング・テイタム)は、そんな彼女に対してことごとく反発するが…



「世界が目撃した月面着陸はリアルかフェイクか」という有名なネタを基に、まさか映画を一本作ってしまうとは。
美貌とナイスバディを併せ持つやり手の女ときたら、普通はうんざりしてしまいますが、ケリーの場合、あまりの口八丁手八丁に笑えて来ます。
バービー人形が着るようなケリーの60年代のファッションが、なんとも魅惑的。
ガタイの良い、真面目で実直な戦争帰りのコールは、あの時代の理想的な男性像か。
そして冒頭からなんであんなに黒猫に拘るのかと思ったら、立派な伏線だったのね。
ケリーとコールが初めて見つめ合うシーンでは、ビージーズの「To Love Somebody」が流れ、これでもかと盛り上げてくれる。
タイトルにもなっている「fly me to the moon」の歌は何処で聴かせてくれるのかと思ったら、最後の最後にあのラスボスが口ずさむとは。
あの中で走っていた往年の名車は、私の車仲間によると、カマロSS、コルベット、P51、サターンVだそうです。
全編、ザ・アメリカ!という感じの、よく練られたハリウッド・コメディです。



ヒューストンのNASA、2015年に行きました。
広大な敷地を、映画のようにカートで揺られて廻りました。
飛行機が何万キロ空を飛ぶことすら今一つ理解できない私には、あんな巨大な鉄の塊が月にまで飛ぶなんて、どうしたって信じられません。
その裏に、どれだけの汗と涙と計算があったことかと思ったのでした。


(2015.NASA)

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」公式HP

コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「フェラーリ」

2024年07月18日 | 映画

元カ―レーサーからフェラーリ社を立ち上げ、F1の帝王と呼ばれたエンツォ・フェラーリの、59歳の激動の一年間を描いた物語。
エンツォ(アダム・ドライバー)は最愛の一人息子を前年に亡くし、妻ラウラ(ペネロペ・クルス】との仲は冷え切り、愛人リナとの息子は可愛いものの認知できず、おまけに会社は破産寸前という、人生のどん底にいた。八方塞がりの彼は再起をかけて、1600㎞の公道を走るレース、ミッレミリアに挑むのだが…

「フォードVSフェラーリ」は数年前に観たものの、その他の予備知識はないままに観ました。
アダム・ドライバーがスター・ウォーズで新ヒーローを演じたのが10年ほど前、今作では初老の男エンツォを演じていたので驚きましたが、実年齢の20歳上の役だったようです。
アダムが190㎝程の長身で、こんな大きなレーサーがいたのかと思いましたが、実際のエンツォは2m近い長身だったのですって。
レースに勝つことに執着する傲慢な、しかし女の間で揺れ動く弱みを併せ持つ男エンツォを、よく演じていたと思います。
オペラ「椿姫」を観劇するシーンでは、女たちへの彼の思いが、美しいアリアに乗せられているようでした。
ペネロペ・クルスの始終不機嫌な女房役は、迫力がありました。
愛息を亡くし、あれだけ夫に裏切られ続けたら、不機嫌にもなるのでしょう。



そしてあのミッレミリアの大惨事。
人も一般車もいる公道で時速200㎞以上のスピードレースをするってどうよ?と思っていたら、やっぱり。
沿道の家族の幸せな食事風景が映ったと思ったら、次の瞬間、幼い子供がレースを見に飛び出す。
そして疾走する車が突然パンクして、沿道の群衆めがけてスピンしながら飛び込んだのです。
ちぎれた脚や胴体、目玉が飛び出た顔が容赦なく写され…
あの陽気で人懐っこいレーサーのポルターゴが、あんなことになるなんて。
この事故で、レーサーの他子供5人を含む観客9人が亡くなり、スピードレースとしてのミッレミリアは終わりとなったのだそうです。



エンドロールに御本人たちの写真が出てこなかったのが残念でしたが、この大事故の責任をフェラーリは問われなかったという文言が出てホッとしました。
フェラーリを何台も持つという熱烈な愛好家マイケル・マン監督が、帝王エンツォ・フェラーリを必要以上に美化せずに描いたことを評価したいと思います。

「フェラーリ」公式HP 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」

2024年07月11日 | 映画

1970年の冬、ボストン郊外の全寮制ハイスクール、名門バートン校。
生真面目で皮肉屋で学生や同僚からも嫌われている教師ポールは、クリスマス休暇に家に帰れない学生たちの監督役を務めることに。母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス。自分の息子をベトナム戦争で亡くしたばかりの、寄宿舎の食堂の料理長メアリー。
そんな3人が、2週間のクリスマス休暇を疑似家族のように過ごすことになる。
3人にはまるで共通点はなく、最初は反発心しかなかったが…

「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」の名匠アレクサンダー・ペイン監督の新作というので、期待していました。
全寮制の名門校を舞台にした映画「今を生きる」を思い出したという意見を散見しましたが、私はそれよりも「セント・オブ・ウーマン」を色濃く思い出しました。
東部名門大学に入学するための専門教育を行うPreparatory-School、そこの学生をプレッピーと呼ぶ。
彼らを取り上げた映画や小説に、今までどれだけ接して来たことか。
前述の映画に加えて「ライ麦畑でつかまえて」然り、「ある愛の歌」然り。
この学校に入って高額の寄付金を納めれば、名門大学への推薦枠を優先的に獲得出来る。その恩恵に浴する者もいれば、反抗してドロップアウトする者もいる。



アンガスは成績はよいが世の中を見下しており、みんなから嫌われている。
しかしその母親の自己本位ぶりには、言葉を失くしました。
帰省するつもりで荷物をスーツケースに詰め込んだアンガスに、休暇が始まったその朝に駄目だと連絡するとは。
あれではアンガスが反抗的になるのも無理はない。
彼は今まで5回の退学、転校を繰り返しており、このバートン校を辞めさせられると、州兵養成の為の陸軍学校に行くしかない。

そしてポール・ジアマッティ演じる、斜視で頑固で融通の利かない教師、ハナム。
まるで違う背景を持った料理長メアリー、この3人の不器用な接し方、少しずつ溶け合っていく様の描き方は見事なものでした。
ハナムがアンガスを退学させないために、最後ああしたことですべてを失ってしまったが、初めて人間らしい心を取り戻したと言えるのでしょう。



アメリカ東部の、雪の降りしきる中の煉瓦造りの名門校。
あちこちで挿入される、静かな讃美歌が美しい。
「ホールドオーバーズ」とは、残留者というような意味。
反発しあう残留者たちが、次第に心を通わせていく暖かい世界を堪能しましたが、できたらクリスマスの頃に観たかった…

公式HP 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする