活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【6月12日】

2011-06-12 | 文庫

昨日からふと読み始めた堀辰雄の文庫本が止められなくて、一気に読んでしまいました。昨日は美しい村を読んだので、今日は風立ちぬです。風立ちぬというと松田聖子の歌のフレーズですが、ここはあくまでも堀辰雄であります。結核の許嫁と暮らした八ヶ岳山麓のサナトリウム(と言う言葉ももう死語ですか)での生活を綴ったもので、最後は許嫁の死後3年たっての回想となります。許嫁は右肺がレントゲンで真っ白であるということなのですが、現代でもこのレベルの患者はもう救えないのでしょうかね。当時1930年代だと、高原の空気のいいところでひたすら寝て過ごすことしか手がなかったのであり、何もかもが白く塗られた病室で何をすることなく日々を送るということは、現代では耐えられませんね。そこで送られる主人公とのプラトニックな愛。ただお互いが見つめ合い、手を握り、髪にキスをするという愛情表現。うわーー、現代ではまったく笑い話の世界であります。かえって恥ずかしい。しかし、当時はこういう愛が愛らしかったのだと思われます。37年ぶりに読んだ本でした。

「風立ちぬ・美しい村」堀辰雄 新潮文庫

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