7月下旬に中国で公開されて、大ヒット中という映画「長安のライチ」が、中国語(簡体字)、英語字幕のみで最速上演というので見に行ってきた。※日本語字幕なし
話者の母数が増えるとこんなことが起こるのだなと感心する。実際わたしが行った会は、中国語を母語とするひとは隣のカップルはそうだったけど他はどうだったのか(みんな静かだったので)分からない。わたしと同じようにひとりで来ている人たちは①中国語学習者②中国語圏の映画好きの日本人だと推測。
むかーし、20代のころは日本未公開の現地映画をどうにか手に入れ、繁体字字幕(香港、台湾で使われている漢字)で見ていた(見ていただけ)。語学力は低いけどなんとかなるのは知っていたので行くのを躊躇しなかったし、結果的に語学力が低くても演技、演出で笑ったり切なくなったりできるんだなと実感できた。
言葉を要約するではなく、全部字幕として画面に映すので文章が長く、映る時間が短い。英語字幕のほうが文章としては短かったけど、やっぱり漢字を読むほうがイメージとして理解するのが早い。ヒヤリングよりも字幕に頼っていたと思う。
と映画の感想の前に日本語字幕なし体験記。
さて、本作品はすでにドラマシリーズとしても公開されているものの映画版で、原作は小説。コロナ禍で見た日本の映画に刺激を受けて書いたらしい。
筋としては、
皇帝の愛妃のために遠く離れた生産地から都までどうやってライチを運ぶのか?!という話。そうあのお方、傾城の美女のために。
選ばれしものは…普通の役人。はめられたんだよ!
ライチは鮮度命。とってから三日しか食べられない。
このライチ一粒のために命がけのミッション。
成功すれば天国、失敗すれば地獄。
主演は監督兼務の大鵬、柳家花禄に見えるけど大鵬。
わたしらの世代の大スターアンディ・ラウが嫌な役。こんな役もするようになったとは、時の流れとアンディの確固たる地位を感じた。褒めてる。
とにかくべらぼうに面白かった。
翻弄される普通の人間である主人公にふりかかる災難、
でもそれを乗り越える仲間との出会い、
ライチのために膨れ上がる財政とひっ迫する庶民の暮らし。
そら、国傾くわ。
この匙加減が絶妙。
長安の街、衣装、日本が影響を受けたのがよくわかるし、お坊さんなんかそのまんま。それに大陸の自然の景色(CGの可能性も無きにしも非ず)と見どころたっぷり。
でも、ライチが食べたくなるかといえば、このライチは苦い…。