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母の日に

2008年05月08日 14時53分37秒 | ひとりごと
母は十九の花嫁だった(らしい)。
長男の父に嫁いでから、私の下に二人の子供を産み育て、祖父を、祖母を長い間介護し見送り、4年前には父をも見送った。そしてついには、あの古い広いだけの家に、たった一人になってしまった。
父が亡くなってからの母のくちぐせを、電話口に何度聞いたことか。
“とうさんはね、船に乗って遠~いところに行っているから、なかなか帰って来れないんだ。もう少ししたら、帰ってくるんだよ。”
私はこの言葉を聞くたびに泣けた。父が亡くなってすぐ会社は辞めたものの、どうしても田舎に帰る勇気を持てずに、母を一人にしていた現実。母の淋しさに、なにひとつ返す言葉もなかった。
あのころの私にできることといったらたったひとつ、毎日、彼女に電話をすることだけだった。
昨日と今日、いったい母の話にどんな違いがあったのだろうか、1週間たってもおそらく違いなどなかったと思う。それでも、とにかく毎晩、電話し続けた。

父の三回忌が過ぎた頃だろうか….?
気がついたら母は、“とうさんはね、船に乗って・・・・”を、口にしなくなっていた。
父がいなくなってからは、どんなに美味しい料理を作ったって、だ~れも食べてくれる人がいないから、もうどうでもいいと言っていた母が、三度のご飯を自分のために作っていた。
布きれなんか、全部捨ててしまうといっていた母が、昔のように、パッチワークを家中に広げては、ああでもないこうでもないと言いながら、模様合わせをしていた。

ある日、家から出ることをあれほどまでに嫌っていた彼女なのに、夜電話したら、出ない日があった。心配で心配で、次の朝電話したら、、最初は朝帰りを咎められた小娘のように悪びれながら口をモゴモゴしていたのに、最後にはカラオケ♪に行って楽しくって、家に着いたら夜の11時だったよと、なんと、得意げに語った。
もう~もう、心配したのに!
でも、嬉しかったな (*^。^*)
よくはわからないけど、あきらめたんだよね、とうさんのこと。

今年で74歳になった母に、感謝を込めて!
“ありがとう“

これからも、あなたの人生を生きて下さい。

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2 コメント

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Unknown (のーさん)
2008-05-09 02:44:34
お久しぶりです。何だかじーんと来てしまい、えっちゃんのお母さんの事が目に浮かぶようです。お父さんの事を思うお母さんの気持ち、心配して電話をするえっちゃんの気遣い、とても新鮮です。たとえ家に帰る勇気がなかったにしても毎日のように電話をするだけで、お母さんの心はどれだけ救われたことでしょうか。いい話をありがとうございます。
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こちらこそ (高橋)
2008-05-09 09:43:38
のーさん、こちらこそお久しぶりです。
コメント、ありがとうございます。

>何だかじーんと来てしまい、えっちゃんのお母さんの 事が目に浮かぶようです。

私のほうこそ、この言葉の中にあるのーさんの優しさにふれて、うるっときてしまいました。
のーさんご自身のお母さんに対する気持ちも、なぜか伝わるようです。
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