カウンセリングルーム 横手(三鷹)しゃべりば

個人カウンセリング
グループカウンセリング
学習会
ひとりごと等
(見たいカテゴリーを、クリックしてください。)

第36回三鷹しゃべりばによせて

2010年08月24日 10時48分48秒 | 三鷹しゃべりばに参加して
会が始まってしばらく、人の話をとらないで下さいとか、人が話終わるまで待って下さいとか一度も口にしたことはなかったのに、参加している人たちの多くはなぜか、他人が話し終わるのを待っていた。また、誰も先頭切って話出さなったために、当初、沈黙もけっこう続いた。
なかには、初参加の方々への配慮があったのか、その待ちの姿勢がけっこうな我慢を自分に科していたのだと、後になって語ってくれた人もいた。
初参加のA子さんは、この空間の静けさを何度か言葉にした。彼女は、ここに身を置くことで違和感みたいなものを覚えながらもしかし、この静けさは、どこか懐かしくもあるという。
そして私はといえば、今では当たり前のようになってしまったこの空間だけれど、初めて何某かのワークショップに参加したとき、その静けさに、かなりの戸惑いを感じたことに思いをはせていた。もちろん、今回参加している人たちはそこには誰もいないし、15年も前のこと、“しゃべりば”の空間とは違うのでしょうが、
いきなりの沈黙になじめず、あの何ひとつ課題の与えられていない中で、いったいどう自分は動いたらいいのか、時間が過ぎれば過ぎるほど、訳のわからないあせりや戸惑いを自分の中に感じながら、それでもなんとかしたくて、もがいていた姿を思い出した。
確か、むりやりその場を自己紹介に持っていったはず・・・。
多少なりとも、場に身をまかすなどという“高級”なことができるようになったのは、いや、そうなりつつあるのは、つい最近のことなのです(笑)。

それまでの私の生活の、ほとんどと云い切ってもいいほどに、どんな場所に行ってもそこには課題が置いてあった。私自ら、課題を探して取り組むなどという場所は、当時、家はおろか学校や会社にはなかった。
物心ついたときから、祖父母や両親がいて、彼らからの何かしらの教えがあって、子供なりに動いていたと思う。育つ中、反抗心や自立心が芽生えてか、誰も私のやることに手を出さないでよ~とか云いながら、自分で動いたと思い込んでいたことはあったにしても、そんなのは自立心とは程遠い、父母の“手のひらの上”で、そこには、彼らからの愛情ゆえの教えがあったと思う。
学校に行くと今度は先生や同級生たちがいて、良くも悪くも、彼らの私への様々な介入があった。授業もクラブ活動も、放課後でさえも誰かが関わってきた。毎日、何かを教えてきた。私が頼まなくとも。そして今度は社会にでると、会社という組織の中で、今まで以上に決まりや課題があった。それらは私の意志になど関わらず、幾重にも重なり合って、それでもなんとかこなしていくと、給料という名の報酬がもらえた。ときに、若干の自分なりの創意工夫はしたけれど、それらは、会社から与えられた決まりの中での創意工夫にしか過ぎないので、いつだって、他者の評価がついて回った。いわば、彼らの厳しい介入がそこにはあった。
そういう環境に、そこそこながら適合していた私にとって、初めてのワークショップの空間は、あの誰も介入しない静けさは、強烈な違和感と新鮮さを同時につれて来た。
なのに、最初の戸惑いなんぞなんのそので、それに惹きつけられた私は、15年という月日をこのワークショップの中で過ごすことになった。他人のワークショップに出るだけでは飽き足らず、自分で、あるいは自分たちで始めようとしてから10年、しゃべりばでさえ、来月から9年目になる。

誰かが、・・・こんなにもゆっくりな私を、例えば、自分の心に湧いてきた気持ちを感じながら、それをなんとか手がかりにして言葉に出すようなゆっくりな私を待ってくれる場所は、他にないです・・・と語ったときに、とても驚いた。嬉しいという気持ちより先に、まず驚いた。
待てなくて、待てなくて、いつだって、それは今日でさえも同じで、待つことが何よりもの一大事であった私は、とにかく驚いた。そして嬉しかった。人がいなかったら、泣きたいくらいに嬉しかったと思う。
そしたら今度はB子さんが、私はここに来るようになってから初めて、“待つ”ことを覚えたんですと話し出す・・・。いわゆる待つとかいうよりは、間あいとか行間を、口にされていたように思う。こちらは別段驚かなかったけど、彼女の言葉を聞いているうちに、続けてきたことを誇りに思えた。私の自慢なんて、おそらくそれぐらいしかないから。
“待つ”かあ~。
自分の未熟さは、誰よりも自分が一番よく知っているつもりで、15年経ったところで、たいして待てもしない私でも、なんとか続けていると、こんな場面に出くわすことがあるのです。
皆さま、参加してくれてありがとう!

次回三鷹しゃべりばは、10月16日(土)を予定しております。たくさんの皆さまにお会いできることを、心よりお待ちしております。
あと何回、開催できるかはわかりませんが、どの回からも私は元気をもらっています。