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第39回三鷹しゃべりばによせて

2011年02月24日 20時09分38秒 | 三鷹しゃべりばに参加して
“みんな違ってみんないい” by金子みすず

しゃべりばの最中も終わってからも、しばらくこの言葉がこだましていた。
ある人が「・・・どうしてパソコンができないからといって、採用されないのか・・・、パソコンができないからといって私は私なのに」と言った?と思う。またある人が「私は中途半端で、SEといってはそこまでの技術はないし、だからといって事務がちゃんとできるかというと、その辺も曖昧だし・・・」と言う。またある人は「俺はその曖昧さで、今の仕事に採用された。SEだけでは無理だったと思う。建築士としての知識もそこそこあって、そのどっちつかずの曖昧さが俺を救った・・・」と言う。
私が今の会社に採用されたのはおそらく、毎朝走っていたことや週に3日は卓球をやっていたこと、その上に会社が自宅から徒歩圏内の距離にあり、交通費がいらなかったからだと思う。なにしろ何がなくとも体力が一番、そんな職場なのだから。
入社してひと月も経ったころだろうか、あるお局(つぼね)さんから、「あなたの声はかすれ声で、ちっとも通らないわね。その上、車の運転もろくにできないんじゃ、この会社には向いていないんじゃないの!」と、鬼のような形相で言われたときはびっくりした。と同時にこの世の中は凄いもんだ、面と向かって、こんな言葉を浴びせられる人がいるなんて、ドラマの中でしかありえないセリフと信じ込んでいた私は、心が痛いとかいうよりも感心してしまった。だけどその裏に、“自分は運転は上手だし、声だってよく通る素敵な声だわ”が隠されている感じが伝わってきて、この人の言葉の使い方が、すべてそうなっていることに気づいた。どんな時でも彼女は、自分が勝つことで言葉を終える。それを向けられた私は、私の魂はどんどん消耗してゆく。
確かに私は運転も下手だし、生まれ持っての声は変えることはできないので、「○○さんのおっしゃる通りかもしれないですねえ!」と言ってその場を離れた。
そんなやりとりから1週間が経った頃、○○さんがまったくパソコンを使えないことがわかった。私はといえば、パソコンは決して得意ではないけれど、ワードやエクセルは、長年の事務経験からどうにか使いこなすことはできる。なんとなくだけど、○○さんの気持ちも少しは理解することができた。

本当に単純なことだ。誰でも知っていること、すべてが完璧な人などこの世にはいない。パソコンが不得意でも運転は上手な人。パソコンも運転も下手だけど、彼女がうちの職場にいるだけでほっとするよねと言われるような人。あるいはナイーブな文章は下手でも、彼に会社用の文章を書かせたら誤字脱字ひとつなく、見事に箇条書きの文章の書ける人。または、文章はまったく苦手でも数字ならお任せの経理屋さん・・・
言い始めたらきりがないくらい、誰でも何かが得意で何かは不得意なはず。あのイチローだって、上手にカレーが作れるかどうかは怪しい。電球だってもしかしたら変えられないかもしれない。もちろんイチローに尋ねたことはないので、あくまで私の想像の世界のことだけど。
9ケ月ぶりに勤めを再開したところ、すべての仕事はマニュアルのもと15分ごとに管理され、責任をとらないかわりに自由が剥奪されたシステムで(確かに効率はいい)、それができないときは、サーカスのトラやライオンの様に仕事を教える度に、ムチ(おばちゃんたち言葉のムチ)がとんできた。そんな姿勢に、私がついつい漏らしたグチ。そんな私のグチに皆が反応して、各々が自分のことを語り始めた。今度は皆の話を聞いているうちに私に浮かんできた言葉、それが、かの金子みすずの名作“みんな違ってみんないい”
「昔は、もっとのんびりしていたよねえ。・・・こんないやな時代を誰も望んでいたわけではないだろうし、誰だって、みんなと和気あいあいと仕事をする方が楽しいはずなのに、どうしてこんな世の中になっちゃたんだろうねえ・・・」とある人がいった?と思う。私自身、心からそう思う。
私の職場が特別なわけでもなく、多かれ少なかれ、今の日本のいたるところでこれに近い状況になってはいないだろうか?
近い未来、今のこの殺伐としたシステムが崩壊して、誰もが望んでいること“みんな違ってみんないい”の世界が訪れることを何よりも切望する。

※次回三鷹しゃべりばは、4月16日(土)を予定しております。
前回もお話しましたが、4月以降は毎月第3土曜日、時間は午後2時から5時の予定です。
どうぞ、お間違いのないように!
それでは、次回もたくさんの皆様のご参加をお待ちしております。
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