エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

和服の似合う女性

2012年02月14日 | 
野点(のだて)のイベント会場に出くわしたのであった。
梅はまだまだだけれども、茶の匂いが漂って春を知らせてくれる。

茶釜から立ちあがる湯気は、あくまでも柔らかくゆらゆらと揺れている。
茶杓の扱いが優雅でのめり込むようであった。



設(しつら)えは見事である。
紅い野点傘が目に鮮やかである。
野点傘(のだてがさ)は、野点の際に用いられる傘である。

古くは豊臣秀吉が行った北野大茶湯において「丿貫」が朱傘を立て葦垣で囲んだ茶席を設け、主催した豊臣秀吉を大変喜ばせ諸役御免を許されたと記録に残る。
野点の必需品である。

客人二人は、たまたま外から梅を見学に来たのである。

奥の梅林で出会った時にお聞きした。
「まさか、サクラではないでしょうね?」
「はい、関係無いですよ」

「あぁ良かったです・・・梅ですからね!」
とぼく!
ダジャレである。

野点は、屋外で茶を点(た)てること、または野外で行われる茶会のことである。
古くは野山に出て遊ぶ野遊びのことを野がけ(懸)と称したため、野点のことを野懸茶といった。
また松葉などを燻(ふす)べて湯を沸かし、茶を点てる風流なならいである。



垂れ梅の枝から垣間見える女性は「秘すれば花」の風情である。
より一層、美しげに見えるのである。
朧たけた・・・とはこの事でもあろうか・・・。





      春の日は一筋の露野点かな         野 人








      下萌や茶を点ておる手弱女の        野 人





後ろ姿が形正しいのは、見ていてこちらがピン!とする。
冴え返った空気の冷たさであったけれど、こちらの姿勢が問われているようであった。

室生犀星は、こう言った。
「たとえ鰯といえども形正しからざるものには鍋を貸すべからず!」
言い得て妙である。





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     荒 野人


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