エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

赤き葉の悲しき定めに

2011年03月10日 | ポエム
いま、季節は木の芽時だとするのが至当だけれど、色彩の残滓がそこかしこに残っているのである。



南天の葉である。
だんだら模様になっているけれど紛れも無い南天である。

難を転ずるのである。
ぼくらが子どもの頃は、便所(あえてトイレと書かないで便所である)の窓から見える位置に植えられていたものである。








        赤き葉の悲しき定めに


      赤き葉の一片に心ざわめく時もある
      泡立つようなきみの素肌に
      触れることも無く
      赤き葉の孤独にきみは
      ざわめかないというのか

      きみの隙間に
      少しだけでも場所をくれないか
      失ってきた時間と時空を
      必ず取り返してあげるから
      赤き葉の色合いがそう言っている

      日差しの和らぐ午後の孤独よ
      傾く地軸のままに
      磁力の移動などはありえないという
      極致にあってきみは磁場を感じ
      磁場を踏み倒していくというのだろうか

      赤き葉の一片は
      いつまでも失わないという
      きみの純情の孤独だというのか
      磁場と地軸の関係が
      きみのすべてであると確信させたまえ






ヒイラギの赤い葉である。
縁の棘々を痛々しく思える寒さがあって、寒波が関東にまで下りて来ているのを知覚出来るのである。

これが寒さの体感である。
いっそ、潔い寒さである。



空に蹲(うずくま)るような雲があった。
その雲の周囲が、強く寒い風でぼかされたように散っている。



どこからともなくチンチョウゲの香りが漂ってきた。
蕾がひらき、香りを放っているのだ。

目を瞑(つむ)ると、きみが網膜に像を結んだ。






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                荒野人


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1 コメント

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Unknown (ripple)
2011-03-10 09:32:35
赤い葉といえば、英語俳句に傑作があります。

red leaves
fall again

fallは、落ちると秋を掛けたものです。
うまいですねえ。
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