エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

「天山」という中華料理屋さん

2012年02月29日 | グルメ
今日は朝から時ならぬ雪模様である。
昼過ぎまで、降り続くのだと予報されている。



お隣さんとの境目である。
かなり積りそうである。




      音を消し気配を吸って街の雪         野 人




さて、今日の俳句はここまで。
俳句と離れてグルメというカテゴリーのまま日記を綴りたい。

「天山」なかなかにインパクトのある店である。
さしずめ、今日ならこの場所には辿りつけない。
雪に遮られてしまうからである。

きっと、天山のプレハブにも雪が降り積んでいることだろう。
幸い、天山は水曜日が定休日である。



道端にある看板はこれだけである。
向こう側から来た車は多少は分かるかもしれないけれど、こちら側から来る車には何の看板なのか判然としない。

不親切な看板である。



この路地・・・そう路地を曲がるのである。
この路地を曲がると、ようやくこの看板が目に入ってくる。

なるほど、ここで良いのだな!
と合点がいくのである。



これがお店である。



プレハブ作りの店構えである。
変哲もない、と言えばその通りである。

店内は、カウンターのみ。
七つほどの止り木がある、といった風情である。

周囲は、竹林と雑木林のみ。



花と言えば枇杷の花がこっそりと入口の横にさいているのみ。
なんという殺風景であろうか。

だがしかし、出てくる料理は本格派であった。



これはウンペイロー。
「雲白肉」と書く。

味は自家製のラー油の辛さが鮮烈であって、ニンニクの辛味も加わって、深い辛さの刺激が口腔と脳を直撃する。
ペロッと平らげてしまった。

下にレタスが敷いてあるのだけれど、それとの相性もなかなかに宜しいのである。
複雑な辛さにレタスの新鮮なシャリシャリ感が合っているのである。



次いで、チーマージャンを核としたスープのない麺である。
坦々麺とは似て非なるものである。

とにかく辛いのだけれど、暫くすると「深い至福の味覚」が訪れる。
徹底的に、かつ良くかき混ぜる。
すると美味しさが一層増してくるのである。



辛さに飽きたら、少し酢を投入する。
味が変わって、またまた美味しく頂けるのである。

せん切りのネギが鮮烈な印象を味蕾に働きかける。
そういった味である。



最後はこれである。
鶏肉と塩のスープソバである。

澄んだスープである。
混ざりっ気の無い味である。

鶏の淡白な味わいと塩のシンプルにして奥行きのある味わいの出会い・・・そんなスープである。
鳥も臭味なく処理されている。

パッと載ったワケギが目にも鮮やかな演出となっている。
しかも味を引き立てると言った按配である。

按配と言えば、こうした漢字表記もある。
「塩梅」
である。

塩味が上手に配分、あるいは配置してある様を言う。
味の追及者・中国人は専(もっぱ)ら、この「塩梅」を使うのである。





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      荒 野人


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