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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「ソウルの春」~韓国で実際におこったクーデター事件を題材にした一級エンターテインメント作品!

2025年06月11日 | 洋画
 amazonプライムで映画『ソウルの春』を観た。
 実際におこった1979年の朴正煕大統領が暗殺された10・26事件、全斗煥の粛軍クーデターまでを題材にした作品だ。
 フィクションなので多少の脚色がなされている。
 たとえば、こんな名前の改変。
・全斗煥→全斗光(チョン・ドゥグァン/演ファン・ジンミン)
・張泰玩→李泰臣(イ・テシン/演チョン・ウソン)
・盧泰愚→盧泰健(ノ・テゴン/演パク・ヘジュン)

 いやあ、面白かった!
 当初はクーデターを企てた全斗光が劣勢。逮捕直前。
 ところが大逆転。
 しかし、それに徹底抗戦する首都警備司令官・李泰臣(主人公)。
 息もつかせぬハラハラドキドキ!
・クーデター阻止のために軍を動かしたら北朝鮮が侵攻して来る!
・このままでは内戦になる!
・漢江の橋封鎖!
・主人公・李泰臣が率いる部隊は戦車4台を有するが、わすか104名!
 重い現実を描きながら、しっかりエンタテインメントしている。

 昨年末、韓国ではクーデター未遂事件があって「先進国でクーデター?」と思ったが、1979年にこういう現実があったんですね。
 6月3日の大統領選挙では投票率79.4%だったが、こういう歴史があるから皆、投票に行くんですね。
 ………………………………

 さて、保安司令官チョン・ドゥガン(全斗光)のクーデターの過程は次のようなものだ。

・政敵であり上司である参謀総長チョン・サンホ(鄭祥鎬)を逮捕。
 容疑は大統領暗殺に関わったとする共謀罪。
 もちろんでっちあげ。
・軍のOB会や派閥であるハナ会に根まわし。
 クーデターの際の味方になってもらう。
・抵抗の可能性のある主人公・李泰臣、特殊戦司令官、憲兵監の3人を夕食に招き、実質拘束。
 配下の部隊に命令を出せないようにする。
・合法的にクーデターをおこなうために参謀総長の逮捕の裁可を新大統領に迫る。

 しかし計画はシナリオどおりに進まない。

・李泰臣らは夕食の場から脱出。配下の部隊に司令を出す。
・新大統領は「簡単に裁可を下すことはできない」「国防長官の裁可をもらって来い」とツッパねる。
・軍もすべてがチョン・ドゥガンに従わない。
・シナリオどおり行かないことでOB会やハナ会のメンバーが動揺し始める。

 果たしてクーデターは成功するのか?
 結果はネタバレになるので書かないが、これが映画『タクシー運転手』の「光州事件」に繋がる。

 最後にクーデター首謀者チョン・ドゥガンと主人公イ・テシンのせりふを紹介します。

・チョン・ドゥガン
「人間という動物は強い者に導かれたいと願っている」
「失敗すれば反逆罪、成功すれば革命だ!」

・イ・テシン
「国を反乱軍に渡すというのか!?
 私の肩書きは何だ? 首都警備司令官がソウルを見捨てろというのか!?
 わが祖国が反乱軍の手によって滅びつつあるのに最後まで戦わないのか!?
 国家権力の簒奪──やつらの行為を黙認するのは大韓民国の軍人として許すことはできない。
 今夜ソウルはわが部隊が守る!」


※関連動画
 映画『ソウルの春』予告編(YouTube)


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (象が転んだ)
2025-06-15 07:39:19
紹介されてて興味を覚え、早速見ました。
結局は多勢に無勢で、軍部によるクーデターが勝利するんですが、これも戦争なんですよね。
正義が勝つには、相手よりも汚い手を使わないと勝てない事を教えられた気がします。
アメリカの正義が常に勝利するのも、それだけ汚い手を使ってるからで、中東のテロリストらが真っ当な正義に思えるから不思議です。
返信する
現実とフィクション (コウジ)
2025-06-15 08:57:08
象が転んださん

いつもありがとうございます。

現実は必ずしも正義が勝つわけではないんですよね。
というより、力を持った者、ずるいこと、汚いことをした者が勝つというのが現実。

なので、正義が勝つフィクションは心の癒やしになるのですが、今作は史実に基づいているためラストは「現実」でしたよね。
韓国の歴史を漠然・曖昧な形でしか知らなかったので、今作のラストには言葉を失いました。
返信する

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