平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「深夜特急」 沢木耕太郎~青春とは<無意味なこと>が出来ること

2015年01月08日 | ドキュメンタリー
「ほんのちょっぴり本音を吐けば、人のためにもならず、学問の進歩に役立つわけでもなく、真実をきわめることもなく、記録をつくるためのものでもなく、血湧き肉躍る冒険活劇でもなく、まるで意味がなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ」

 日本からロンドンまでを乗合いバスで旅する過程を描いた、ドキュメンタリーの傑作『深夜特急』を改めて読み返してみた。
 上に挙げたのはその一文。

 青春ですね。

 沢木さんは「誰にでも可能で」と書いているが、実はこんな旅は若者でなくてはできない。
 なぜならオトナは<意味>を考えてしまうから。
 これをやることで、お金になる、有名になれるなどと考えて、オトナは行動を始める。
 あるいは、今回の文章から引用すれば、「人のためになる」「学問の進歩に役立つ」「真実を極めることが出来る」「記録を作れる」「血湧き肉躍る冒険となる」と考えた時点で行動する。

 一方、青春とは<無意味なこと>が出来ること。
 オトナから「そんなことやって何の意味があるの?」「バカじゃないの?」と言われてしまうことを平気でできてしまうこと。
 まあ、オトナは社会生活を営んでるし、責任も背負っているし、人生の残り時間も少なくなっていますから、どうしても行動の意味を考えてしまうんですけどね。

 しかし、それは不自由なこと。
 意味の呪縛から解放されれば、人は自由になれる。

 <酔狂>に生きる人間はオトナ社会を否定していて、カッコいい!

『深夜特急』が青春のバイブルと言われる理由は、こんな所にあるのでしょうね。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« サンデーモーニング新春SP~... | トップ | 翁長沖縄県知事、安倍自民党... »

コメントを投稿

ドキュメンタリー」カテゴリの最新記事