平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

X-MEN ファースト・ジェネレーション~袂を分かつチャールズとエリック、すべてはここから始まった

2016年08月24日 | 洋画
 人間を殲滅し、ミュータント中心の世界を作ろうとする〝マグニート〟ことエリック・レーンシャー。
 ミュータントと人間の共存を目指す〝プロフェッサーX〟ことチャールズ・エグゼビア。

 エリックが人間を殲滅しようとする理由が明快ですね。
 彼はユダヤ人で、ナチスによって収容所に入れられ、迫害され、母親を殺されたのだ。
 エリックは、人間は<異質なもの>を排除し、迫害するものだと考えている。
 人間への激しい不信と憎しみ。
 それを収容所で実体験したから、エリックは揺るがない。

 これに対するのがチャールズ・エグゼビア。
 彼は人間を信じており、お互い理解し合い共存することは可能だと考えている。
 観客や読者が共感しやすい正義の側ですね。

「X-MEN」シリーズは、このふたりの対立図式で進行していく。
 この作品「ファースト・ジェネレーション」はチャールズとエリックが袂を分かつまでが描かれる。
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 チャールズは善意と寛容の人で、理想主義的ですね。
 でも現実は、残念ながらエリックの方に分がある。
 今回のエピソードでも、アメリカとソ連の艦隊はミュータントたちを殺戮するため砲撃した。
 自分に危害を及ぼす可能性のあるものは殲滅してしまうしかない。
 これが人間の戦争の歴史をつくってきた。

〝理想〟や〝寛容〟よりも〝怨念〟〝欲望〟〝生存本能〟の方が強いのが人間でもある。
 現に今作でも、怨念で動くエリックの方が圧倒的な迫力があり、理想で動くチャールズは穏やかで弱々しい。
 人間は理性のたがが外れると、たちまち〝怨念〟〝欲望〟〝生存本能〟で動くようになる。
 それを防ぐために、宗教、道徳、法律がある。
 エンターテインメントが、主に人間の〝理想〟や〝寛容〟や〝正義〟を描くのもそのためだ。
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 あと今回、面白かったのが、〝ビースト〟ことハンク・マッコイ。
 彼は自分の足が手の形をしていることがコンプレックスだった。
 自分の足を醜いと思い、自分の研究で何とか治したいと思っていた。
 ところが、不完全な薬を投与して、全身が獣の姿になってしまうと、吹っ切れて、ありのままの自分を肯定するようになった。
 おまけに潜在能力が開花し、獣の力を持つようになって<ひ弱なインテリ青年>から、抜群の頭脳と体力を兼ね備えた<最強の戦士>に。
 ハンクは心身共に強くなった。
 とんでもないGがかかる音速ジェット機も自由自在に操縦する!
 見事なキャラクターの変貌ですね。
 不完全な薬の投与がきっかけだったが、ハンクはコンプレックスを克服した。
 普通なら、さらに醜くなってしまったことで自殺すら考える所だが、彼は悩みまくったあげくに〝ビースト〟として生きていくという結論を出した。
 コンプレックスに悩んでいる人には勇気づけられるキャラクターだ。
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 その他では、X-MENシリーズでは、毎回ニューヨークのエリス島やサンフランシスコのアルカドラス島、原発事故のスリーマイル島など、著名な島が舞台になるが、今回はキューバ危機の米ソが対立するキューバ沖の島。
 歴史の事件を上手く活用していますね。
 あとは、
 チャールズが探索機械(←この時にはまだボロい!)でミュータントを探す時、若かりし頃の〝ストーム〟が出て来る。
 ミュータントをスカウトするシーンでは〝ウルヴァリン〟が1カット、「おととい来やがれ」というせりふで出てくる(笑)
 こういう遊びはマニアにはたまらない。


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