平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

百人一首に収められた紫式部、清少納言、赤染衛門、道綱母、藤原公任の歌

2024年04月03日 | 
 百人一首には、大河ドラマ『光る君へ』の登場人物の歌が入っている。
 紫式部、清少納言、藤原道綱の母、赤染衛門、藤原公任、清原元輔(清少納言の父)。
 中納言兼輔(藤原兼輔)は紫式部の曾祖父だ。

 めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月かげ 紫式部

 やっとめぐり逢って、見たのが月だったのかもわからないうちに、
 雲の中に隠れてしまった夜半の月よ、月と同じようにあなたは姿を隠してしまいました。

『光る君へ』を見ていると、ここで言う「あなた」は道長のように考えてしまうが、
 文学史的には、紫式部の幼友達(女性)を指すらしい。
 同じ歌を収録した『新古今和歌集』の詞書にはそのことが書かれている。
 でも……。
 紫式部の幼友達って『光る君へ』では三郎(道長)ではないか!
 脚本の大石静さん、ここまで考えて書いていたのか。
 ちなみに、この歌、『紫式部集』の巻頭歌になっていて、紫式部にとって大切な歌だったらしい。


 夜をこめて鳥のそら音(ね)ははかるともよに逢坂の関はゆるさじ 清少納言

 夜が明けていないのに、孟嘗君の食客のように鶏の鳴き真似をしても、
 逢坂の関の関守はだまされませんし、私もだまされて戸を開けてあなたと逢ったりしませんよ。

『光る君へ』にも登場している藤原行成とのやりとりを描いた歌だ。
 孟嘗君の食客が鶏の鳴き声の真似をして、関守をだまして函谷関を通った逸話をもとにしている。
 清少納言、自分の漢籍の教養をひけらかしている!笑

 これに対する行成の返歌もなかなか粋だ。
 逢坂は人越えやすき関なれば鳥鳴かぬにもあけて待つとか。
 逢坂は誰でも越えられる関なので、鶏が鳴かなくても関を開けて待っているらしいですよ。

 ……………………………………………………………………………

 その他の登場人物の歌は簡単に。

 嘆きつつひとり寝る夜のあくる間はいかに久しきものとかは知る 道綱母
 嘆きながら一人で寝る夜が明けるまでの時間はどんなに長いものか、
 あなたにはわからないでしょうね。

 この歌は『光る君へ』でも紹介されていましたね。

 やすらはで寝なましものをさ夜(よ)ふけてかたぶくまでの月を見しかな 赤染衛門
 ぐずぐずあなたの訪れを待ったりせず、さっさと寝てしまえばよかったのに、
 夜が更けて西の山に月が傾くまで月を見てしまいました。

 この歌は赤染衛門が姉妹の代わりに書いたものらしい。
 赤染衛門の姉妹は藤原道隆と恋仲だったが、道隆にすっぽかされてしまった。
 その姉妹の思いを赤染衛門は代わりに書いた。
 
 滝の音は絶えて久しくなるぬれど名こそ流れてなお聞えけれ 大納言公任
 滝の水音は絶えてから長い年月が経ったけれども、その名声は今も世間に流れて聞えて来る。

 藤原道長が公任らを伴って大覚寺の滝殿を訪ねた時の歌。
 滝になぞらえているが、道長の名声を讃えた歌だと言われている。

 人物のことを知っていると、その歌もよりリアルに迫って来ますね。


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