平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「光る君へ」 第17回「うつろい」~あわれ道隆、権力への妄執で修羅の世界へ。安らぎは妻・貴子との日々。

2024年04月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 道隆(井浦新)の退場。
 その死は、猜疑と哀願と強権──中関白家の権力の維持、権力への妄執に終始した。
「お前と道兼はなぜ手を組んである? まさかわしを追い落とす気か?」
「わしが死んでも酷なことはしないでくれ。伊周を、わが家を頼む」
「御子を、御子を産め!」
「伊周を、関白に!」
 道隆の心の中は強風が吹き荒れ、決して穏やかでなかっただろう。
 権力に固執したせいである。
 一条天皇(塩野 瑛久)には、伊周(三浦翔平)が内覧になることを即時求めて、
「下がれ!」
 これはショックだっただろう。
 あわれ道隆……。

 こんな道隆が、唯一穏やかだったのは妻・貴子(板谷由夏)に手を取られて昔話をした時。
 貴子の歌が身にしみる。
『わすれじの行末まではかたければ 今日をかぎりの命ともがな』
(この幸せがいつまで続くか分からないので、幸せな気持ちのまま今日死んでしまいたい)
 兼家(段田安則)の時にもそうだったが、人の幸せとは何なんだろう? と考えてしまう。

 それにしても井浦新さん、圧巻の演技である。
 ちなみに道隆の病は「飲水病(いんすいのやまい)』=糖尿病らしい。
 ……………………………………………………………

 一方、反道隆派は動き出す。

 詮子(吉田羊)は道兼(玉置玲央)を次の関白にすべく暗躍する。
 理由は、伊周より道兼の方がマシだから。
 これに対抗するのが定子(高畑充希)。
 伊周が内覧になるべく動き出す。

 実資(秋山竜次)は相変わらず正論の君子。
 伊周が壁になって、自分たちの意見が一条天皇に届かないことに関して
「わしは間違ったことを申しておらぬ」
 素晴しい!
 こういう官僚が現代にもいてほしい!

 一条天皇もこれを聞いて、考えを改めた様子。
「伊周のことを朕は嫌っておらぬ。だが、若すぎる」
 自分が道隆の傀儡であったことを、一条天皇は気づいてしまった。

 道長(柄本佑)はこうした政争からは距離を置き、疫病から民を救うことに専心している。
 悲田院の増築について、道隆に却下され怒鳴られても「それでもやらねばならぬ!」
 結局、倫子(黒木華)の財で増築をすることを決めた。
 倫子さま、なかなかの人物である。
 道長の心が別の女にあることを知っているにもかかわらず、強く問いつめることをせず、
 それどころか道長を援助した。

 倫子さまの話が出たので、話題を女性に移すと、
 明子(瀧内公美)はすっかり道長の虜になってしまったらしい。
 お腹の子を入内させるという兄の目論見を否定して、道長の子をもうけたことのみを喜んでいる。
 個人的には明子さま推し、というか瀧内公美さん推しなので、ぜひ幸せになってほしい!

 清少納言(ファーストサマーウィカ)は斉信(金田哲)とつき合い始めた。
「深い仲になったからといって、自分の女みたいに言わないで」
「そういうことネチネチ聞くあなた、本当に嫌」
 清少納言、実にたくましい!

 そして、まひろ(吉高由里子)。
 道長が悲田院から運んで来て、一晩中看病したことを聞いて嬉しそうな様子。
 でも昔のように情熱的に突っ走ることはしない。
 冷静に現状を見ている。
 道長が民の救済のために動いていることを聞くと、かつて道長が言った言葉を思い出した。
「地位を得て、まひろが望む世をつくるため精一杯努めようと思うておる」
 もはや、まひろと道長は「望む世をつくるための同志」なのだ。
 道長は、まひろの容態を聞きにいかせたり、まだ未練があるようだが。

 そして、まひろ。
 さわ(野村麻純)がまひろの手紙を書き写して勉強していたことを知った。
 本作では、まひろが中国の古典を書き写す場面がよく出て来るが、
『書き写す』は重要なモチーフなのだろう。
 おそらく、まひろは女性たちに書き写してもらうために『源氏物語』を書く。
 書き写してもらうことで女性たちは学び、世の中を知っていく。
 漢文はハードルが高いが、和文の物語なら入りやすい。
 まひろの『源氏物語』への模索は続いている。

コメント (8)
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