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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

映画「新聞記者」~森友、加計など、安倍腐敗内閣が生み出した作品。メディアと官僚は自分の矜恃と良心を取り戻せ!

2020年03月24日 | 邦画
 日本アカデミー賞の最優秀作品賞など各賞を総舐めした映画『新聞記者』。

 そこで暗に描かれているのは──
・森友事件
・伊藤詩織さん事件
・前川喜平さんを貶めるための新聞リーク事件
・加計学園事件
 すべて安倍案件だ(笑)
 まあ、東京新聞の望月衣塑子さんの著書を原案にしているのだからこうなる!
 冒頭のテレビ番組の討論番組では、望月衣塑子さんと前川喜平さんが出ている!
 この作品、こんなふうに現実が見え隠れしているから、映画の夢の世界に没入したい観客はシラけるんだけど、こういう作品があってもいいだろう。
 まさに2019年に生まれるべくして生まれた作品、安倍腐敗内閣が生み出した作品だ。
 今、森友事件で自殺された近畿財務局の赤木俊夫さんの手記と遺書が公開されたが、この作品の内容ともリンクする。
 
 面白いのは首相官邸まわりの事件を扱っているのに、首相や官房長官や総理補佐官がまったく出てこないこと。
 主人公の新聞記者・吉岡エリカ(シム・ウンギョン)に敵として立ちふさがるのは、内閣調査室の多田智也(田中哲司)のみ。
 首相や官邸の顔が見えないことが、逆に権力の隠喩になっている。
 巨悪は決してオモテに出ず、下部組織を動かして暗躍するのだ。

 そんな巨悪の先兵である内調の多田が語っていた言葉は次のようなもの。
「安定した政権を持つことがこの国の国益なんだ」
「ウソか本当かを決めるのはお前じゃない。国民なんだ」
「この国の民主主義は形だけでいいんだ」

 多田は内閣調査室の職員を使って世論を操作する。
 スキャンダルをでっちあげ、権力に敵対する者を社会的に抹殺する。
 なかったことをあったことにして事実にしてしまう。
 何という傲慢!
 内調のやるべきことって、外国のスパイや国内の不穏分子を調べることだろう。
 権力批判をする人たちを取り締まることではない。
 まして、ウソをでっち上げて社会的に抹殺するなんて!
 結局、多田が守ろうとしているのは『政権』なんですよね。
 多田にとっては『国=政権』であって、『国=国民』ではない。

 こんな多田の姿勢に疑問を抱き、葛藤する者もいる。
「俺たちは何を守っているのか?」
 内閣調査室の杉原拓海(松坂桃李)だ。
 自殺した内閣府の神崎千佳(宮野陽名)も組織と自分の良心・信念の間で悩んでいた。
 健全な社会を維持するためにはこういう人たちが必要なんですよね。
 不正を告発する主人公・吉岡エリカのようなメディアの人間も。
 これは僕の持論なんだけど、
 社会のそれぞれの分野の人が、自分の矜恃と良心で仕事をしていれば、世の中はそんなに悪くならない。
 官僚は官僚の矜恃と良心を
 メディアはメディアの矜恃と良心を
 検察官は検察官の矜恃と良心を。

 最後に、この作品はあまりスッキリした形で終わらない。
 エンタテインメントのカタルシスはない。
 ネタバレになるので詳しく書かないが、このモヤモヤした感じこそが今の現実なのだ。
 森友、加計、桜──全部モヤモヤしている。

『新聞記者』はやはり2019年が生み出した作品なんですね。

コメント (6)
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