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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒15 「100%の女」~100%で生きるなんて必要なんですかね~

2016年12月01日 | 推理・サスペンスドラマ
 殺人事件の謎解きがメインではなく、担当の女検事をドラマにした所が面白い。
 女検事・倉田映子(鶴田真由)は100%の女。
 何事も100%でないと安心できない。
 だから犯行の立証において弁護側が絶対に見過ごすような綻びも気になってしまう。
 今回の外交官殺しに関しても、犯人は明確で、裁判で勝つことは9割方決まっているのに、残りの1割のことが気になって、目撃者に証言の変更を誘導してしまった。
 だが、この誘導は検事としてはあるまじきこと。
 おまけに、ここには映子の個人的な事情も絡んでいた。
 100%にこだわる映子は、検事として100%でなかったことを恥じて検事を辞める。

 100%完ぺきであること。
 これってハードですよね。
 右京さん(水谷豊)が言ったように<法律に携わる者にとっては理想>で、実現されれば冤罪がなくなるんでしょうけど、実に窮屈。
 人間、少しはバグがあった方がいい。
 それが人間らしさだ。
 実際、100%の女・倉田映子にも過去の事件のトラウマというバグがあった。
 ………………………

 正義についても言及があった。
 法務省の日下部(榎木孝明)は、右京の捜査によって有能な映子が検事を辞めたことについて、こう問いかけた。
「これから先、彼女がやろうとしていた大きな正義を失うことの方が大きな損失だと思わないのか?」
 これに対して右京は、
「お言葉ですが、法を破って正義を全うできるとは思えません」

 この対立は『相棒』ではたびたび語られている。
 人類を救う画期的な薬をつくった研究者も罪を犯したことで、右京は逮捕してしまった。
 右京にとっては<大義のために犯した罪が見逃されること>はあってはならないことなのだ。
 ドストエフスキーの『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフは、
「自分が法律家になればたくさんの人を救える。そのためには大学に復帰する金が要る。だから社会の癌である金貸しの老婆を殺して金を奪ってもいい」
 という理屈で老婆殺しをおこなったが、同じテーマが『相棒』でも展開されている。
 ………………………

 最後は伊丹(川原和久)。
 右京から事情を聞くと、やばい案件にも関わらず、
「聞いたからには令状をとるしかねえな」
 口を閉ざす容疑者には、
「われわれもプロなんでね、調べる方法はいくらでもあるんですよ」
 刑事だね~、イタミンは!

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