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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒11 「酒壺の蛇」~難しいことを考えることをやめた君のことがずっと嫌いだった

2013年03月21日 | 推理・サスペンスドラマ
 今回は敵が強大であったため、総力戦でしたね。
 角田課長(山西惇)。
 伊丹(川原和久)たち、捜査一課。
 米沢(六角精児)さん。
 大河内監察官(神保悟志)。
 サイバー犯罪課の岩月彬(田中圭)。
 画面には現れなかったが、神戸尊(及川光博)。
 それぞれがそれぞれの持ち場で働いて事件解決に向かう。
 伊丹は神戸のことを指して『特命ネットワーク』と呼んでいたが、神戸だけでなく、まさに『特命ネットワーク』全員で闘った感じ。

 カッコ良かったのは次の3つのシーン。
・右京(水谷豊、享(成宮寛貴)、角田課長が事件について話しているのを聞いていた伊丹。
 角田課長が「事故死にしちまったからな」とつぶやくと
「事故死にしちまった警察官ですけど何か? 詳しく聞かせてもらいましょうか」
・角田課長は葬儀に立ち会い
「本物の警察官の骨を拾ってやるんだよ」
・大河内監察官も甲斐峯秋警察庁次長(石坂浩二)に対して
「それは警視庁にお任せ下さい」
 それぞれが魂とプライドをもって、自分の仕事を遂行している。

 さて、君原いずみ(星野真里)が語った言葉はなかなか興味深い。
「難しいことは考えるのはやめたんです。ただ愛していればいい。ただ愛する人の指示に従えばいい」
 みたいなことを言っていた。
 考えることをやめた、いずみ。
 思考停止。
 これって奴隷になることだ。
 結果、スパイの意のままに殺人まで犯してしまった。
 これはオウム真理教事件で、サリンをまいた実行犯たちに似ている。
 確かに自分ですべてを考え、決定していくことって不安なんですけどね。
 誰かの考えに従って生きていた方がずっと楽。
 でも、スパイの王が手紙で書いていたとおり、われわれは「難しいことを考えることができる国」「調べることができる国」にいるのだ。
 この権利を放棄してはならない。
 そうしないと権力者の意のままに操られ、一部の者だけが美味しい思いをすることになってしまう。
 現在のTPP参加なんかも難しい問題なんですけどね、やはり自分の頭で考え、結論を出していきたいと思います。

 スパイ・王の手紙については、どう考えればいいのだろう?
『難しいことを考えることができる幸福を捨てて、愛に溺れる快楽を選んだ君のことがずっと嫌いだった』
 確かに、難しいことを考えることを放棄したいずみは、王にとって軽蔑すべき人間だっただろう。せっかく考える権利を与えられているのになぜ放棄するのかと。
 しかし、後に右京さんがいみじくも言ったとおり、なぜ王はこの手紙をいずみに送ったのか?
 王はこの手紙を残すことで、いずみときっぱり決別したかったのかもしれませんね。
 いずみには、憎み否定することで、新しい男を見つけ、新しい人生を送ってほしいと思った。
『相棒』はミステリードラマですが、この男女関係もミステリー。
 王の意図はどこにあったのか?

 最後は、享が持っていて、父親である甲斐峯秋次長が失ってしまったものとは何か?
 <純粋さ><他人への共感力=自分のことより他人のことを考える心>
 今回、享は自分の父親への感情が原因でスパイを取り逃がすというミスを犯してしまいましたが、それを反省して右京に謝った。
 もはや享は父親のことで感情的になったり、父親と同類である高級官僚に対して怒り、暴走することはないだろう。
 享は、刑事として大きく成長したようです。


コメント (6)
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