「わしは王家の犬では終わりたくないのだ」
忠盛(中井貴一)の口から出た言葉。
忠盛は「未熟な舞ゆえ、お目汚しになり申し訳ございません」と貴族たちに謝りながら、胸に刃を秘めていた。
忍従は「武士が十分な力を得る」までのひとつの過程だった。
忠盛が清盛(松山ケンイチ)を後継者にしたのは、王家に屈しない反骨の心を持っていたからだろう。
あるいは既存の権威を疑う心。
「何なのじゃ! 何なのじゃ! 何なのじゃ!」と叫べる心。
これが弟の家盛(大東駿介)だったらそうはいかない。
家盛は、忠盛が殿上人になったことを素直に喜んでいる。
つまり家盛は、王家や貴族たち、既存の権威を信じる姿勢の人物。
これでは<王家の犬>で終わってしまう。
忠盛が「王家の犬で終わりたくない」と思ったのは、清盛が産まれた時だったらしい。
この変化が起きたのは、清盛の母・舞子(吹石一恵)が王家のエゴによって殺されたからか。
無惨な舞子の遺体を見て、これではいけない、自分はもっと力を持たなければならないと思ったからか。
それにしても忠盛という人物は強い。
清盛は「父上は気高く強き心の軸をなくしてしまった」と忠盛を非難したが、そんなことはなかった。
どんな屈辱を受けても、ブレない心の軸を持っていた。
屈辱を受けてキレてしまう心や、困難があってくじけてしまう心は、軸のない弱い心だ。
本物の心の軸というのは何があっても動じない。
目的のために忍従し、自制する。
そのことを清盛は今回の父親の姿から学んだ。
清盛がまたひとつ大きく成長した瞬間だ。
「お前が思う以上に殿上は面白い所ぞ」というせりふも力強い。
忠盛は、権力闘争が繰り広げられ、妖怪がうごめく殿上で生き残り、這い上がっていくことを愉しんでいる。
「未熟な舞ゆえ、お目汚しになり申し訳ございません」と頭を下げることを、少しもつらいと考えていない。
出世ゲームを愉しんでいる感じ。
まさに「遊びをせんとや生まれけむ」である。
もうひとつの親子、源為義(小日向文世)と義朝(玉木宏)の関係もよかった。
「やられればよいのです。父上がやられた分は私がやり返します。父上がやられた分、私は強うなる」
名セリフだ。
父と子の絆を描くのに、こんな的確なせりふはない。
このせりふを受けての為義のせりふも頼もしい。
「お前に守ってもらうほど、わしは弱ってはおらぬわ」
今回は二組の父と子の物語。
<殿上の闇討ち>という史実をここまで膨らまして、力強い父と子の物語にした作家の力量はお見事!!
忠盛(中井貴一)の口から出た言葉。
忠盛は「未熟な舞ゆえ、お目汚しになり申し訳ございません」と貴族たちに謝りながら、胸に刃を秘めていた。
忍従は「武士が十分な力を得る」までのひとつの過程だった。
忠盛が清盛(松山ケンイチ)を後継者にしたのは、王家に屈しない反骨の心を持っていたからだろう。
あるいは既存の権威を疑う心。
「何なのじゃ! 何なのじゃ! 何なのじゃ!」と叫べる心。
これが弟の家盛(大東駿介)だったらそうはいかない。
家盛は、忠盛が殿上人になったことを素直に喜んでいる。
つまり家盛は、王家や貴族たち、既存の権威を信じる姿勢の人物。
これでは<王家の犬>で終わってしまう。
忠盛が「王家の犬で終わりたくない」と思ったのは、清盛が産まれた時だったらしい。
この変化が起きたのは、清盛の母・舞子(吹石一恵)が王家のエゴによって殺されたからか。
無惨な舞子の遺体を見て、これではいけない、自分はもっと力を持たなければならないと思ったからか。
それにしても忠盛という人物は強い。
清盛は「父上は気高く強き心の軸をなくしてしまった」と忠盛を非難したが、そんなことはなかった。
どんな屈辱を受けても、ブレない心の軸を持っていた。
屈辱を受けてキレてしまう心や、困難があってくじけてしまう心は、軸のない弱い心だ。
本物の心の軸というのは何があっても動じない。
目的のために忍従し、自制する。
そのことを清盛は今回の父親の姿から学んだ。
清盛がまたひとつ大きく成長した瞬間だ。
「お前が思う以上に殿上は面白い所ぞ」というせりふも力強い。
忠盛は、権力闘争が繰り広げられ、妖怪がうごめく殿上で生き残り、這い上がっていくことを愉しんでいる。
「未熟な舞ゆえ、お目汚しになり申し訳ございません」と頭を下げることを、少しもつらいと考えていない。
出世ゲームを愉しんでいる感じ。
まさに「遊びをせんとや生まれけむ」である。
もうひとつの親子、源為義(小日向文世)と義朝(玉木宏)の関係もよかった。
「やられればよいのです。父上がやられた分は私がやり返します。父上がやられた分、私は強うなる」
名セリフだ。
父と子の絆を描くのに、こんな的確なせりふはない。
このせりふを受けての為義のせりふも頼もしい。
「お前に守ってもらうほど、わしは弱ってはおらぬわ」
今回は二組の父と子の物語。
<殿上の闇討ち>という史実をここまで膨らまして、力強い父と子の物語にした作家の力量はお見事!!