平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

運命の人~弓成の志を継ぐジャーナリストよ、現れよ!

2012年01月18日 | 職業ドラマ
 スクープを狙う記者・弓成亮太(本木雅弘)。
 「部数が欲しけりゃ、スクープを連発すればいい」と販売部に食ってかかる傲慢さ。
 これだけだと、ただの自信過剰の野心家だが、弓成にはその根本となる思想があった。
 それは敗戦で理解した<国家>というものの真実。
 国は国民をだまし、戦争を続行し、多くの国民を苦しめ、死に追いやったという現実。
 弓成は言う。
 「国が本当のことを言っているとは限らない。いつの時代でも苦しむのは国民だ。俺は国のウソや欺瞞を暴く」
 こんな発言もしている。
 「政府の欺瞞に見て見ぬふりをしろと言うのですか。それでは新聞記者をやっている意味がありません」
 「俺の記事で日本を動かしたい。未来を変えたい」
 弓成はただの自信過剰な野心家ではなかった。
 上に書いたような思いで行動している新聞記者だった。

 その志は素晴らしい。
 しかし、理念と戦術は違う。
 自分の理念や目的をどのように実現するかは個人の裁量だが、弓成はやり方(戦術)を間違った。
 事務官の三木昭子(真木よう子)を使った情報漏洩。
 それを巨大権力につけ込まれた。
 権力は自分を脅かす存在を許さない。あらゆる手段を使って葬り去ろうとする。
 弓成の場合は昭子とのスキャンダル。

 この作品は、国家という巨大権力に立ち向かった弓成というドン・キホーテの敗北の物語である。
 それがどのように今後描かれるかは楽しみであるが、一方で現在のマスコミのことを考える。
 現在のマスコミに弓成のような記者はいるのか?
 記者クラブでの発表をそのまま記事にしている、事なかれ主義の<御用記者><サラリーマン記者>ばかりではないのか?
 元沖縄防衛局長・田中聡氏の不適切発言をスッパ抜いたのは、地元の琉球新報だった。
 他の新聞は何をしていたのか?
 「オフレコだよ」「書いたら出入り禁止だよ」と言われて、口を閉ざしていたのではないか。

 弓成はやり方を間違えて権力につけ込まれたが、志はジャーナリストだった。
 弓成の志を継ぐジャーナリストよ、現れよ!

コメント (4)
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