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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

華麗なる一族 第6話

2007年02月19日 | その他ドラマ
 万俵大介(北大路欣也)は大同銀行をのみ込むためにこう行動を起こす。

 三雲(柳葉敏郎)ら大蔵省の天下り派と生え抜き派が対立している大同銀行。
 これを利用する。
 三雲らを追い出して生え抜き派を取り込むのだ。
 三雲を追い出す方法は、鉄平(木村拓哉)の阪神特殊製鋼を潰すこと。
 潰せば20億を融資した三雲は責任を取らされる。
 そして三雲がいなくなったと同時に生え抜き派を取り込む。
 取り込むにあたっては大蔵省の反発が出るであろうから、閨閥結婚で佐橋首相を味方にする。
 おそるべきシナリオだ。
 その他にもいったん阪神特殊製鋼に融資金20億を内密に返還させるという措置もとった。

 一方、鉄平はこう闘う。
 父・大介のシナリオなど知らない鉄平は帝国製鉄らライバル会社が自分たちを潰そうとしていると考える。
 6月の銑鉄供給の停止。銑鉄が供給されなければ会社は潰れる。
 そのため9月完成で着工している高炉を突貫工事で6月に完成させようとする。
 人員集めを行う鉄平。

 ビジネスものとして十分に面白いのだが、ここに父と子のドラマが入るからさらに面白くなる。
 自分の息子が情熱を傾ける会社をも潰そうとする父・大介の非情さ。
 父と子なのにというドラマ。
 父の非情さの裏には阪神銀行を守るためだけでないこともドラマに深みを与えている。
 自分の父、鉄平の祖父への憎しみにも似た思い。
 どうやら大介は自分の父に妻・寧子(原田美枝子)を寝取られた様だ。
 この悔しさ、憎しみが大介の原動力になっている。相子(鈴木京香)への思いになっている。

 ドラマは人の心が深く描かれていればいるほど面白くなる。
 この作品はその見本だ。
 例えば、これが父と子の確執のない「阪神銀行」と「阪神特殊製鋼」のビジネスドラマだったらこれほどの深みはないだろう。
 例えば、父親の行動理由が「阪神銀行を金融再編から守るため」だけだったら、これほどの深みはないだろう。

 さて今回はそんな父と子の対立に銀平(山本耕史)の立場を入れ込んだ。
 ドラマにはこうした第三者的立場の人間がいるとわかりやすくなる。
 銀平の今までの立ち位置はこうだ。
『非情な父についていけず、万俵の血を憎んでいるが(彼は妻に子をおろせという)、同時に父にはかなわないと思っている。
 そんな自分にはかなわないと思っている父に立ち向かう兄・鉄平をすごいと思っている』

 しかし銀平は今回父に歯向かう。
「兄さんは勝ちますよ。父さんは企業を育てるという銀行家の信念を捨ててしまった。理想と信念を持った人間(鉄平)が策謀だけの人間に勝てないわけがない」

 ここで新しいドラマのテーマが浮き上がってきた。
「理想と信念が策謀に勝つ」
 作者はこのことをこの作品で言いたかったのだろう。
 それはこんなせりふにも。 

「理想や信念が人を動かすんです」
 鉄平は理想と信念で人を動かしてきた。
 今回、人を連れてきた沖仲士がそうだ。
 一方、大介は罪をなすりつけ一時的に左遷させるなど策謀で人を動かしてきた。
 策謀で左遷させられた人間はいったんは従うだろうが、いつ反旗を翻されるかわからない。
 一方、鉄平の場合はかたい信頼で結ばれた関係だ。

 ドラマのテーマ・各人物の心の中が明らかになり、「華麗なる一族」はいよいよ面白くなってきた。
 「風林火山」もいずれはこうなるのだろうか?

コメント
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