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3月11日(曇り)
奈良市といっても東の郊外になる「柳生」方向にある「南明寺」に行きました。普段は見学不可の寺ですが、最近、涅槃図の修復が終わり、2週間、披露をかねて寺の寺宝を公開されています。
この本堂は写真からも分るように非常に簡素・素朴な造りで鎌倉時代中期以降に建立されたようですが、内陣に安置されている重要文化財指定の薬師如来・釈迦如来・阿弥陀如来の3体(いづれも一木造り)は本堂より古く、平安時代に造られたようで、どのような経過でこの寺に安置されたのかは不明です。
暗い堂内におられた老人たちは当番で仏像を守っていると話され、涅槃講の本尊「涅槃図」がよく見えるようにと板戸を開けてくださいました。板戸を開けると薬師如来の前に架けられた涅槃図に外光が当り、沙羅双樹の下に横たわる釈迦と、その死を悲しむ菩薩や天、弟子、民衆、動物達の姿がはっきりと見て取る事ができました。
そのあと梅の里・月ヶ瀬に向かいました。既に街中では咲き終わった「蝋梅」がここでは満開で、紅白の梅の花はまだ満開には至っていませんが、手入れが行き届きた斜面に古木の梅の木々が点在し、品のよい春の光景が広がっています。
途中から雨混じりの横殴りの雪が降ってきて、シルクの帳が下りたような乳白色になりました。とても寒く、手足が痛いほどでしたが、陽気の中で見る梅とは違った凛とした立ち姿の梅の風情はなかなかのものでした。
帰りの道、携帯電話で宮城沖の地震を知りました。知らないから「梅み」などと暢気なことが出来たのであり「人生は一寸先は闇」、見えない人生に私たちはどうすればいいのか。「杞憂」を前に出して生きるのは難しいし・・・。
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