一瞬悪夢が頭を過ぎりました。 もしかして彼女は私を物乞いと思って施しをしたのではと思ったのです。長旅で疲れた顔をしていましたし、腰も少しは曲がっていたかもしれません。でも一応きちんとした身なりをしていましたし恵んで欲しいなどとは口が裂けても言ってません。
このままにしてはおけないので何か無いかとリュックの中を探しましたが、そんな気の利いたものはありません。トイレを済ませて彼女の席に立ち寄り、払って頂いた御礼を言うとともに日本から絵を描きに来たことを話し、ヴェニスやアマルフィで描いた絵を見せました。よく見ると歳は21-2才くらい。落ち着いた感じの洋服を着ていましたのでこちらでデザインか何かを学ぶ学生さんかなと想像しました。もし私が40-50才若ければお返しに食事にでも誘って・・・・・そこで意気投合すればミラノ再訪となったかもしれません。久しく忘れていた ときめき を感じました。
物乞いの件については、なおわだかまりが残っていたので、恐る恐る添乗員さんにいきさつを話したところ、イタリア女性は少しでも親しくなると奢ったり親切にしたがるところがあるとのこと。「それに立ち飲みは椅子席より安く、せいぜい2ユ-ロほどなので負担に思わないでしょう」と言われたので少し安心しました。
絵はミラノのランドマ-ク「ドゥォ-モの見える通り」です。最後にハップニングがありましたがこうして旅は終わりました。