桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2012・3・26

2012年03月27日 | Weblog
今日は午後から劇団NLTのKさんたち、続いて文学座の演出家Mさん、更に若手劇団のMさんとイベントスペースの見学が重なった上に、営業時間になってからもポルトガル仲間のIさんニ連れられてきた美人歌手のAさん、女性バイオリン奏者の個人ライブを企画しているTさんなどにイベントスペースを紹介説明することが続いて、この調子でイベントスペースが埋まってくれればコレドも安泰だと、今日はオリビアの世話より桃井章の世話を優先させてくれた社長秘書のYさんやその友人のMちゃんと馬鹿っ話をしながらも思っていたのだけど、その心の裏で少し前にいらしていたS大学のS教授が教えてくれたニュースに心が暗くなっていた。S教授の声はいつも籠もっていて聞こえづらい。だから今日も「タブッキ……死んだ……」と言われて時も一瞬何を言っているのか分からなかった。「今日の日記に……タブッキのことを書いたのは……彼の死を知ってたの?」と続けられても、まだ意味が分からなかったけど、教授がiphonで「タブッキ死去」という活字と元気だった頃の彼の写真を見せられて、漸くイタリアの作家のアントニオ・タブッキがポルトガルのリスボンでガンの為死んだということを認識する。店じゃ細かいことは分からないのて部屋に帰って夕刊を見てみるが、朝日新聞には一行も載ってない。朝刊が配達される時間まで待ってみるが、朝刊にも載ってない。誤報か?でも、ネットでは毎日読売日経と彼の死を伝えているらしい。だったら何故朝日は伝えないのか?ちょっとだけ他の新聞と比較して朝日に対する信頼感のある俺は他の新聞の記事が誤報であると思いたいが、もしもタブッキの死が本当だったら、俺はそのことを全く知らないまま『昨日はバスタブの中で「フェルナンドペソア最後の三日間」(Aタブッキ)を再読していて気づいてみたら一時間近くも経っていた……』と25日分の日記に書いている訳で、彼が実際に息を引き取った時間が日本時間ではその頃だったとしたら、そうでなくても俺が何度も読んでいるのに何故かもう一度読みたくなって結局最後まで読んでしまった「フェナルンド・ペソア最後の三日間」という小説は、彼が終世敬愛したポルトガルの詩人ペソアが死ぬ直前の三日間を描いたものだったし、ペソアの「異名者」という概念が、彼の死後にも生きていて、その一人がタブッキだった(と俺は勝手に過程しているのだけど)としたら、彼も「……最後の三日間」の中に登場していても不自然ではないし、死ぬ直前に時間と空間を超えて、五反田のボロマンションのバスタブの中にいる俺に最後まで読み続けろと命じていてもおかしくないと思ってしまう俺は、かなりのタブッキマニアで且つ彼が俺に紹介したペソアマニアでもあるのだ。それにしても今年に入ってから「レクイエム」「遠い水平線」「インド夜想曲」「供述によりとペレイラは……」「逆さまゲーム」「島とクジラと女をめぐる断片」「黒い天使」そして「フェルナンドペソア最後の三日間」とタブッキの著作を再読し続けたのは、俺の中で彼の死を予感するものがあったのかもしれない。アントニオ・タブッキ、享年68才。ノーベル文学賞の候補にもなった有能な作家だったが、何よりも何よりも桃井章をポルトガルと詩人ペソアに導いてくれた恩人であるコレドのホームページのアドレスイベントスペースの使用要項などご参照ください。
[3月の予定]3/28(水)~29(木)グリーンフラッシュ公演
「4月の予定」4/6(金)~8(日)藤尾京子作演出作品  4/17(火)公演予定あり 4/18(水)パーティ 4/20(金)乃木坂de575 4/24(火)朗読イベント  4/28(土)~29(日)マサコルト公演
「5月の予定]5/1(火)予約あり 5/18(金)乃木坂de575 5/23(水)~27(日)松本祐子演出作品