桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2006・6・28

2006年06月29日 | Weblog
午後『ハナミズキの有る家』のリハを終えた後、六本木でプロデューサーのN氏と秋のイベントの打合せをしていたら、女友達のSから「ご飯食べたい」電話。こう云う直球を投げられるのに俺は弱い。N氏との打合せを早々に切り上げて西麻布で鰻を食べる。このSとの関係は俺の交遊関係の中でも、ちょっと変っていて、食べることだけでつながっている。彼女から今日みたいな「ご飯食べたい」電話がかかって来る時もあるが、俺も誰かとご飯が食べたい時にはSに電話する。それも明日とか来週じゃなくて、今すぐご飯食べたいから出て来いよみたいな電話。Sは今年30のいい女だし、普通なら予定が一杯詰まっていてもおかしくないのに、俺の呼出しに100%応じてくれる。そこがミソだ。明日とか来週とかでは予定をつけてくれる女も一杯いるけど、今日の今日、それも2時間後にご飯食べようと誘って100%OKしてくれる女は、恋人でもない限りいないだろう。俺にとってSはそれだけでVIPになる。嫌な話だけど、俺は人とつきあう時、相手に「見返り」を求める。俺がこれだけ相手にしてあげるんだから、相手からも何か貰いたい。勿論それが仕事だったり、男女関係だったり、具体的なこともあるにはあるけど、「母性愛」を満足させてくれたり、知的好奇心を満足させてくれたりなんて、相手は何も与えているつもりはないのに、こっちが勝手に貰った気持になる抽象的なことでもいい。とにかく何か貰わないと(少なくとも何か貰えそうだと錯覚させてくれないと)嫌なのだ。もうこいつからは何も貰えそうにないと判断すると、その時点で相手に対する執着がなくなる。Sはいつでもどんな時でも100%(クリスマスイブだって)ご飯を食べてくれると云う「見返り」を俺にくれることで六年もつきあっている。そのSを同伴して八時過ぎに店へ。最初は演出家のSちゃんしかいなかったけど、土曜日にイベントをやるWさんたち、高校の時の同窓生Kたち、エステシャンのMちゃん、制作会社のプロデューサーMたち、S出版社のSと続いて、更にイベントスペースには女性脚本家Sさんが教室の生徒さんたち八人と来店してくれたりして、久々に店は活気を呈する。鰻屋で冷酒をたっぷり飲んで来た俺は、かなりの酩酊状態で、みんなに絡んだり、女性脚本家のSさんといちゃついたりと狼藉の限り?お客さんから文句が出るかと思いきや、今日みたいに酔っている方が楽しいとの声。まぁ、確かにカウンターの隅で白けた顔して坐っている俺より、酒場的かも知れない。