コロナ禍で一躍有名になった台湾のデジタル担当大臣=オードリー・タン氏は自らを「保守的アナキスト」と呼ぶそうですが、「暴力や権力で威圧できる、既得権益などを独占している、ただそれだけの理由で他者を従わせてはならない」というのが彼のアナキズムの定義で、”Wikipedia”の「アナキズム」の項にも『日本では無政府主義と訳される場合も多いが、誤解の多い訳語』とありますが、「アナキズム」の日本語訳=「無政府主義」に持つ「既存の政府を打倒し無政府状態を造りだす…」といったイメージとはずいぶん違うんだなぁ…というのが本書を手に取った第一印象でした。
読み進むにつれ、著者の実家・熊本での震災体験や、アフリカでのフィールドワークで見えて来た「未開」の人々の生き方を紹介する中で、いまの「多数決による民主主義」で物事を決めようとすると、どうしても少数者は切り捨てられることを、「茶飲みに行く家の数がへってうまかあねえもの」と全会一致主義をとる村(高知県窪川村)の寄り合いのようなしなやかな考え方に共感できます。
くらしのアナキズム
松村 圭一郎 著, :ミシマ社
読み進むにつれ、著者の実家・熊本での震災体験や、アフリカでのフィールドワークで見えて来た「未開」の人々の生き方を紹介する中で、いまの「多数決による民主主義」で物事を決めようとすると、どうしても少数者は切り捨てられることを、「茶飲みに行く家の数がへってうまかあねえもの」と全会一致主義をとる村(高知県窪川村)の寄り合いのようなしなやかな考え方に共感できます。
くらしのアナキズム
松村 圭一郎 著, :ミシマ社