緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

病院の中から感じる 危うさ

2020年12月13日 | 医療
Ioannis IoannidisによるPixabayからの画像 

病院の中のコロナの風向きが変わってきています。



第2波の時は、症状が軽く、経過を追っていくような患者さん
第3波と言われる今は、症状が悪化して来院、入院、急ぎ投薬が必要・・


何が違うのかというと、

第2波の時は
陽性者の周囲、濃厚接触者を調べたら陽性で
症状はないけれど宿泊施設や病院でフォローといった状況

今は
症状が明らかになって、検査をしたらやはり陽性と
いった状況で病院に来る・・・


つまり、
潜在的に見つかっていない感染者が市中にいて、
症状が出て、そこそこ悪化してから
医療機関に到達しているということ。

言い換えれば、
感染者(ウイルスを持っている)は市中にいて
発症者(症状が出ている)となってから検査に到達・・


もっと分かり易く書くと、

「症状が出てから見つかる」
  ↓
「症状が出るまで見つかっていない」



めちゃくちゃ、これ、まずい・・です。




感染者は自覚していない(できない)ので、
動けば、それだけ感染源となり
ばらまいてる可能性がある・・

気づくきっかけがないのですから、
その人が悪いわけではありません。

システムとして
人を動かさないという基本に戻る必要があります。




ちなみに、現在投与が検討される薬剤は

ファビピラビル(アビガン®) 軽症者 弱い推奨
レムデシビル(ベクルリー®) 中等症~重症 弱い推奨
ステロイド           中等症~重症 弱い推奨


上二つはまだ国内での保険適応があるわけではないので、
患者さんに投与する前は
一人一人院内の審議を経て処方に至ります。

それを検討する委員会の委員なのですが、
このところ、急に変化してきています。
第2波と比較して、
入院してすぐの患者さんに緊急会議の招集がかかります。
1時間後の委員会に出席できますかという
電話が一日の内に何度もかかってくることもあります。


毎日、PCR陽性者数が発表されます。

病院の中にいると、
その数ではなく、
質の変化を感じます。

症状が出てから見つかる
つまるところ、
症状が出るまで見つからない
という違い・・



ひたひたと忍び寄る影を感じつつ、
私達が乗った船はどこに向かっているのでしょう。
船頭が見えず、
行先も霧の中、
患者さんがいる以上
踏ん張るしかない医療機関ですが・・

市民が健康で初めて経済は回せるものです。

ワクチンは、早くて来年の3月位ではないかと言われています。
この冬、日本はどう乗り越えていこうとしているのでしょうか・・

※ 健康とは、病気ではないという意味ではありません。
 病気であっても健やかであることを含めています。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 看護師には、看護師にしかで... | トップ | もう余裕はない中で。緊張が... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (1day1smile)
2020-12-13 22:42:48
先生、本当にお疲れ様です。
どういう状況が先生のブログで、
先生はじめ医療従事者の方々の為にも
自分が感染してはいけない!って
さらに気を引き締めないといけない…
あらためて思います。
先生、いつもありがとうございます。
返信する
Unknown (aruga)
2020-12-13 23:45:44
1day1smileさん

いつも、ありがとうございます。
頂いたコメントにどれほど励まされることか・・
そして、まさに我が意を得たり❗です。
力を合わせて、この冬を乗り越えていきましょう!!
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事