オピオイド3剤の薬理特性(鎮痛、腸蠕動抑制、行動抑制、呼吸抑制)を背景をそろえて(ラット、皮下注)、末梢薬物濃度との関係を明らかにすることを目的とした実験。
鎮痛効果は、Tail-flick test
腸蠕動抑制は、ひまし油経口投与後、5,15,30分オピオイド投与し、下痢の程度とその抑制度を3段階評価
その他、運動能、呼吸状態などと薬物の末梢と中枢の濃度を測定。
A. Nakamura, et al. Distinct relations among plasma concentrations required for different pharmacological effects in Oxycodone, Morfhine, and Fentanyl. Journal of pain & palliative care pharmacotherapy. 2011; 25:318-334
結果の一部を以下に。
鎮痛効果を1としたところ、
オキシコドン 便秘 0.9 行動抑制 2 呼吸抑制 200
モルヒネ 便秘 0.1 行動抑制 3 呼吸抑制 200
フェンタニル 便秘 1.1 行動抑制 1.1 呼吸抑制 100
という結果が示されています。
あくまでも、ラットの結果であり、
人にどこまで適応できるかという問題はありますが、
目安になります。
オキシコドン、モルヒネは、
鎮痛効果が出る前に便秘になっています。
つまり、痛みがとれる前に、便秘になっているのです。
オピオイド開始と同時に、下剤はやっぱり必要です。
開始した後、便秘になってから下剤でいいか・・なんて、思っていては遅いです。
フェンタニルは、鎮痛効果とほぼ同時に便秘になります。
フェンタニルは、便秘が少ないので、
下剤は不要と思っている医療者もいますが、
便秘になります。
フェンタニル貼付剤は、
他の薬剤で導入した後で切り替える薬剤のため、
切り替えた最初から併用はしておくべきですね。
呼吸抑制が心配という医師がまだまだいますが、
この結果では、鎮痛効果の100~200倍の血中濃度で抑制されています。
(他の実験で、皮下投与量が増えると
血中濃度も線形性に上昇することが示されています。)
ただし、臨床では、単に100~200倍で抑制が起こるというだけではなく、
投与速度がこれに関係してきますから、
急速投与(静注などの投与速度が速くなるなどしたとき)では、
もっと少量で起こりえることには、注意が必要ですが。
オピオイドスイッチングをすることから、
なんとなく、3つのオピオイドは同じものと感じる人もいますが、
結構異なります。
他の実験で、脳内移行がオキシコドン、フェンタニルはよいのですが、
モルヒネは悪いことが示されているものもありました。
その結果をいかして、
臨床では、中枢の腫瘤による頭痛や
脳血管障害による頭痛にオピオイドを用いる時は、
フェンタニルかオキシコドンを選択するようにしています。
オピオイド開始時の嘔吐が
やはり鎮痛効果がでるよりも
ずっと低い血中濃度で出ることが
すでに、報告されていますが、
この論文で、2剤については
便秘も鎮痛効果以前にでることがわかり、
本当に興味深いものでした。
コンサルテーションにいかしていきたいと思います。
ありがとうございます。
明日からに生かしていきます。
それより、眠いのですが、これは呼吸に関係するのでしょうか?服用量が多すぎるのでしょうか?
行動抑制や呼吸抑制に関係するのでしょうか?
痛みがなく体が軽い、たったそれだけのことでこんなに心穏やかにいられるなんて、初めて知りました。
長い長い時間がかかりましたが、ようやくたどりつきました。
いまただゆっくり眠りたいです。
コメントくださり、ありがとうございました。
どんなに多くの患者さん方が励まされることか・・
眠気は開始直後には、薬の副作用として25%位の方に最初に1~3日位でることがありますが、今まで、痛みで体が休めていないと感じていたような時は、痛みがとれて体がやっと休めるようになって眠気がでる(薬の副作用ではなく、体が休養を求めている)のかもしれません。
まずは、ゆっくりと休んでみてくださいね。
ケタラールまたはリドカイン持続点滴
第1ステップ薬の問題が大きいとアセスメントされるようでしたら、
アセトアミノフェン静注薬(アセリオ®)
その他、ビスフォスフォネート、ストロンチウムを検討します。
フェントス投与されていたようですので、フェンタニル注射薬でもよいかと思います。