緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

art of loving 愛は技術か・・ ”The Practice of medicine is an art・・”から考えてみる

2018年04月08日 | つれづれ

今日、何気につけていたTVから
art of loving と書かれ、
それを、”愛の技術”と訳されていて、

出演者が
「え~、愛が技術と言われるとねえ・・
 心だよねえ」
と言っていることが
耳に入りました。






医学を art and sience と
表現することがあります。


"And I said of Medicine,that is an art, which considers the constitution of the patient, and has principles of action and reasons in each case."

(メディシンについていえば——これはアートである。これは患者の体質を考慮し、取り扱ういろいろの処置の原理が研究されていて、その一つ一つのケースについて理論的な理由付けができているアートなのである)
"The Practice of medicine is an art, not a trade; a calling, not a business; a calling in which your heart will be exercised equally with your head."
(医療とは,ただの手仕事ではなくアートである。商売ではなく天職である。すなわち,頭と心を等しく働かさなければならない天職である)
ウィリアム・オスラー(1849-1919)名言



緩和ケアに関わるようになって、
特に、この言葉はよく耳にするようになりました。

私も、そして私の回りの人々も
緩和ケアの根底にあるものは、
sience 科学を越えた art なんだ・・
緩和ケアは情感豊かな芸術的な要素があるもの・・
と、感じていました。

そして、artは、術でもあり、
医術とartがつながっている
というような理解でした。






偶然であったこのページ。
なるほど・・
私の芸術として捉えていたのは
結構、的外れだった・・と


人間がつくり出したものすべてがアートである。実際、英英辞典を見ると、「art」はたいてい「human effort to imitate, supplement, alter, or counteract the work of nature.」のように説明されている。芸術や美術はアートであることは間違いないが、本来のアートはもっと広い意味を持った言葉なのだ。
これは、アートの反対語は何か?と考えると、より理解できる。アートの反対語は「nature、ネイチャー」(自然)である。自然は、人の手が加えられていないものだからだ。欧米の学問体系は、大きく2つに分かれている。
ここまでのことですでにおわかりと思うが、ひとつがアートで、もうひとつがサイエンスだ。
アートとは「人間がつくったもの」だから、これを学び、研究するのがアートの勉強であり、大学や大学院でのアートの学位となる。科目でいうと、文学、歴史、哲学、美術、建築、音楽などだ。これらの学科は、一般的に「humanities」(ヒューマニティーズ)と言われている。
そしてもうひとつのサイエンスは「神がつくったもの」、つまり、この世の中にある人間以外がつくったものすべてを学び、研究することだ。したがって、日本語の「科学」「理科」という訳語は意味が狭すぎると言っていい。むしろ、広く「学問」ととらえたほうがわかりやすいだろう。
東洋経済on line  日本人の的外れな「リベラルアーツ論」
(https://toyokeizai.net/articles/-/13697?page=7)



技術;
古代ギリシャで用いられていた語・概念「古希: τεχνη テクネー」が、ラテン語の「ars アルス」という語に訳され、フランス語「art アール」、英語「art アート」、ドイツ語「Kunst クンスト」に引き継がれ、それらの言葉・概念が翻訳され、翻訳語としても用いられている概念で、さらに、現代英語の「art」が「技術」と訳されていることもあれば、「technique」という言葉が「技術」と訳されていることもあり、さらに、technologyという言葉も「技術」と訳されることもあるので、その意味でも多様に用いられている。
技術 - Wikipediaja.wikipedia.org#:#https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%A1%93

 

art
不可算名詞:芸術、美術、技術、技巧、術、熟練、腕、人工、わざとらしさ、作為、ずるさ、狡猾
可算名詞 :(専門の)技術、技芸、医術、術策

”smile without art”  は、すなおな微笑
”by art”  は、狡猾に

Weblio 英和辞典





事実、日野原重明先生は、アートを技術と訳されていました。

"The Practice of medicine is an art, not a trade; a calling, not a business; a calling in which your heart will be exercised equally with your head."
(医療とは,ただの手仕事ではなくアート(技術)である。商売ではなく天職である。すなわち,頭と心を等しく働かさなければならない天職である)



この一連のものを見た時に、
アートは技術なのか・・と
驚きを禁じ得ませんでした。

「技術」と訳すと、
TVがまさにそうであったように
日本語の持つ技術のイメージ
(心が入っていないスキル重視)
にとらわれてしまいますが、

そうではなく、
”人が生み出したものである”ことに
視点を移すことが大切なのだと理解しました。

つまり、
アートは、
ヒューマニティに裏打ちされた
人が作り上げた領域を指し、

自然界にあるものを明らかにしていく
ネイチャーやサイエンスに
アート-人の力ーが加わって
形成されたものが医療。



だからこそ、
医療は、人間力を磨かなければ
成り立たないわけです。





他のことを行いながら
つけっぱなしにしていた
TVから流れてきた言葉、

art of loving・・

そして、
え~、愛を技術っていってしまうの~
違うよ~

という言葉に、つぶやきました・・
日本語のartはね、
意味がちょっと違うよ

愛する技術ではなくて、
”愛するすべ” と
訳せばよいのではないかな・・

私のつぶやきでした・・


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