緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

最悪を考えて、最善を尽くす~看取りの前の後悔を少なくするために

2015年12月27日 | 教育

死を意識するようになってきたとき、
どのように準備するよう
声をかければよいのですか?
そんなこと(死が迫っていること)は言わないでと
ご家族からいわれてしまうのですが、
後になって後悔されないようにと思うのです。
でも、そういわれると、手が出せなくなって、
無力だなあと思うのです。


そんな質問を医療者からもらうことがあります。


後悔しないように。。
そんな思いで、患者さんやご家族に、
死をはじめとする何かが起こる前に、
対処を始めることを勧めたい・・
そんな気持ちの医療者がいます。

一方で、起こってもいないことを伝えたり、
まして、死について言葉にでると、
希望を失うから何も言わないで・・
そんな気持ちのご家族がいます。

医療者は途方にくれます・・
避けがたい現実が予想されると、
余計に医療者は焦ります。

そんな時、
医療者が意図することを
わかってもらいやすい言葉。


最悪を考えて、最善を尽くす




ものには幅があります。
もちろん、最善の道を辿ってくれることを
私たちも願っています。
でも、現実問題として、
万一最悪の道をたどってしまったら・・
皆が後悔してしまうことは避けたいのです。

最悪の道を辿るとしたら、
どんなことが起こり得るのか・・
そんな気持ちで、
最善の努力をしていきたいのです。

最悪の何が起こるかという話だけをしたら、
希望が減少してしまうでしょう。
でも、万一の最悪のために、
何を一緒に取り組んでいくことができるのか、
対処することを話し合うことは、
希望の減少ではなく、
後悔の回避であり、
不安の減少かもしれません。



医療者も、通り一遍の説明だけに留めるのではなく、
何を意味しているのか、
その背景にあることや気持ちを
伝えてみる努力も必要だと思います。

言葉の使い方で、
同じことを伝えながらも、
印象は随分と違います。

そういう意味で、
短い言葉ではありますが、
端的に、真意をきちんと含む
言葉だと思います。

最悪を考えて、最善を尽くす

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 半沢直樹ばりの特定共同指導... | トップ | 死を受け入れるとは死を生き... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

教育」カテゴリの最新記事